通貨安など厳しい1年も、インフラ整備は進展
(ナイジェリア)
ラゴス発
2022年12月27日
ナイジェリア経済にとって2022年は厳しい1年だった。通貨ナイラの実勢レートは1年で約25パーセント下落するなど通貨安が進んだ。12月中旬現在、1ドル745ナイラで取引されている。インフレ率も上昇しており、11月時点で年率21.5%に到達している。中央銀行(CBN)の金融政策委員会(MPC)は物価上昇を抑制するため、政策金利をこの1年で13.0%から16.5%に引き上げている。
2022年当初に予測されたとおり(2022年4月5日付地域・分析レポート参照)、CBNは引き続き外貨の供給を絞っており、銀行を介した外貨調達が難しい状態が続いている。外貨準備高も改善する兆しはないが、これは、主な外貨獲得手段である原油生産量が大幅に下落したことが一因だ。11月の産油量は1日当たり115万バレルで、新型コロナウイルス感染拡大以前と比較すると、半分程度に落ち込んでいる。日量40万バレルに及ぶと推定される原油の盗難が原因とされている。ガソリンに対する燃料補助金は引き続き投入されており(2021年10月26日付地域・分析レポート参照)、現在の市中価格は1リットル170ナイラ(約51円、1ナイラ=約0.3円)となっている。これに対し、主に大型発電機に利用されるディーゼル燃料は同800ナイラと、1年で約4倍に上昇した。
想定外の自然災害も発生した。10月には南東部ニジェール川で大規模な洪水が発生し、アナンブラ州やナサラワ州で耕作地に大きな被害をもたらしたほか、物流網にも深刻な被害を与えた。被害者数は320万人に上るとされ、連邦政府は被害地域に対して食糧などの救援物資を支援した。また、1月から9月にかけて送電網の崩壊が計7回発生し、全土で合計送電量がほぼゼロとなった。
一方、インフラ整備では幾つかの進展がみられる。5月にラゴス国際空港の新ターミナルが開業し、アフリカ域内路線の一部が旧ターミナルから移行した。10月にはレッキ地区の深海港(Lekki Sea Port)が完工し、2023年から本格的に運用を開始するとされている。12月には10年以上かけてようやくラゴス鉄道大量輸送機関(LRMT)のフェーズ1が完工した(2022年12月26日記事参照)。
(谷波拓真)
(ナイジェリア)
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