アフリカ進出日系企業調査、ウクライナ情勢の影響目立つも拡大路線は継続

(アフリカ、ケニア)

中東アフリカ課

2022年12月21日

ジェトロは2022年9月8~30日、アフリカ24カ国に進出する日系企業302社(21カ国、231社より有効回答)に対し、現地での活動実態に関するアンケート調査を実施し、12月20日付で調査レポート「2022年度 ブラック ジャック アプリ進出日系企業実態調査(アフリカ編)(20」として公表した。

2022年の営業利益見通しについては、48.9%の企業が黒字見込みと回答(前年比0.3ポイント減)。営業利益見込み(前年比)に関しては、「改善」と答えた企業が4割を切り2.9ポイント減少したのに対し、「悪化」と答えた企業が2.9ポイント増加した。新型コロナウイルス感染拡大に起因する各種規制の緩和や反動により改善があった一方、ウクライナ情勢などに伴う物流や原材料・部品調達に係るコストの上昇が営業利益見込みの悪化につながった。

今後の事業展開については、1~2年間で「拡大」すると答えた企業が5.9ポイント増の54.5%で半数を超えた。また、今後5年間のアフリカの位置付けについては、人口・中間層の増加に伴う各種需要の拡大やインフラ需要の拡大を見込み、7割弱の企業が「重要性が増す」(9.1ポイント増)と回答するなど、厳しい経済状況にかかわらず、多くの企業が拡大方針を継続する構えだ。

アフリカの投資環境については、7割弱の企業が「市場規模、成長性」を魅力と回答しているほか、アフリカに拠点を構える理由についても、8割以上の企業が「市場の将来性」と回答するなど、多くの企業がその将来性を高く評価している。一方、約7割の企業が「規制・法令の整備、運用」をアフリカ市場の課題として挙げているほか、半数以上の企業が「財政・金融・為替面」や「不安定な政治・社会情勢」に不安があると回答している。また、「特に問題はない」と答えた企業が前年の10.5%から6.7%に減少するなど、ほとんどの企業がアフリカ市場には何かしらのリスクがあると認識している。

有望ビジネス分野については、人口増などもあり、食品や輸送機器をはじめとした「消費市場」が44.6%でトップ。そのほか、40.5%の企業が「資源・エネルギー」を有望分野として挙げている。特に、太陽光が56.5%、水素が40.0%と、立地や気候条件に恵まれたアフリカにおける再生可能エネルギー分野の潜在性に対する注目度が高い。なお、今後の注目国については、スタートアップの勃興やインフラ需要の拡大によって注目されるケニアがトップを維持した。

(梶原大夢)

(アフリカ、ケニア)

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