新憲法草案策定プロセスの方針が与野党間で合意

(チリ)

サンティアゴ発

2022年12月16日

チリのアルバロ・エリサルデ上院議長とブラド・ミロセビッチ下院議長は1212日、新憲法草案策定プロセスの方針が大半の議会勢力の間で大筋合意に達したと発表した。

これまでチリでは、94日に行われた国民投票(202296日記事参照)の結果、有権者の6割が反対票を投じたことで新憲法草案が否決された後、新たな草案の作成に取りかかるべく、約3カ月間にわたって各議会勢力の枠組みを超えた議論が行われてきた。その結果、共和党(PLR)と人民党(PDG)を除く、左派連合(Apruebo Dignidad)と中道左派連合(Socialismo Democrático)から成る現政権与党と、中道右派連合(Chile Vamos)を含む野党の大半が合意に至っている。

合意事項としては、国民による義務投票制直接選挙投票によって新憲法草案を策定する憲法評議会(Consejo Constitucional)のメンバー50人を選出すること、新憲法草案の原案を策定して同評議会に提出する専門家委員会(Comisión Experta)のメンバー24人を上下両院がそれぞれ12人ずつ選出すること、人員の選出に当たっては男女平等の観点から一定の男女比率の調整が行われることなどが明記されている。また、憲法評議会50人に加えて、先住民枠の議席が用意される。さらに、国会が選出する14人から成る許容性技術委員会(Comité Técnico de Admisibilidad)と称される、事実上、各議会勢力による仲裁組織が設置され、憲法評議会や専門家委員会で決定した新憲法の草案・原案に関する各事項の妥当性を判断し、内容の見直しを行うことでも合意している。

今後の日程としては、議会はこれら新憲法策定プロセス方針の合意内容を審議・承認させた後、20231月ごろにまず専門家委員会が発足し、草案原案を策定する。その後4月に憲法評議会のメンバーを選出し、5月に同評議会が発足。その後5カ月の審議を経て10月に新憲法草案を完成させ、11月に同草案の是非を問う国民投票を実施するスケジュールを、上下両院議長は発表している。

(岡戸美澪)

(チリ)

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