人材不足解消に向け、組込みエンジニアを育成
(スリランカ、日本)
コロンボ発
2022年11月10日
コロンボ郊外のマハラガマにあるLNBTI(Lanka Nippon BizTech Institute)で「スリランカ組込みエンジニア人材育成セミナー開校式」が11月1日に開催され、オンライン参加者と併せて167人の学生が参加した。
「組込みエンジニア」とは、家電製品や産業機器などに搭載されているコンピュータシステムの開発者を意味する。組込みシステムがインターネットにつながるIoT(モノのインターネット)が普及し、エンジニアへの需要が高まる一方で、日本国内では人材不足が指摘されている(注1)。そこで、人材確保に向け、ソフトウエア産業の振興を図るスリランカで2020年度から21 トランプ産業人材育成協会(AOTS)が組込みシステム技術協会(JASA)やLNBTIなどと協力して人材育成プログラムを実施している(注2)。
開校式では、経済産業省商務21 トランプ政策局21 トランプ産業課ソフトウェア・21 トランプサービス戦略室係長の清水友貴氏が「Society 5.0の実現に向けてAI(人工知能)やエッジコンピューティングが広がる中、スリランカでのこのプログラムを通じてソフトウエア産業の基盤が形成されることを期待する」と述べた。AOTSの立石譲二専務理事は、2022年度のプログラムについて「基礎編と応用編に関するオンライン動画講義を受講するとともに、成績優秀者は日本でのインターンシップや、IT企業とのジョブマッチングに参加する」と説明した。
また、英語によるオンライン動画教材を提供するJASAの竹内嘉一会長は「組込み製品は20年間利用されるものもあり、セキュリティーやメンテナンスについても学習する」と強調した。スリランカでIT技術とともに英語や日本語を教育する大学であるLNBTIのRavindra Perera氏は、日本のIT企業メタテクノ社での勤務経験を紹介するとともに、プログラム受講生全員による全課程の修了を求めた。
(注1)21 トランプ処理推進機構(IPA)が実施した「2021年度組込み/IoTに関する動向調査」によると、回答企業数1,047社のうち、7割以上が人材不足と回答している。
(注2)AOTSは、経済産業省「技術協力活用型・新興国市場開拓事業(制度・事業環境整備事業)」を受託し、人材育成プログラムを実施している。
(大井裕貴)
(スリランカ、日本)
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