世界銀行、2022年のラオスの経済成長率を2.5%へ下方修正
(ラオス)
ビエンチャン発
2022年11月28日
世界銀行は11月17日、ラオス経済の分析レポート「ラオ・エコノミック・モニター」を公開し、2022年のラオスのGDP成長率見通しは2.5%と、前回4月レポートの3.8%から下方修正した。2022年上半期のラオス経済は、中国ラオス鉄道やタナレーンドライポートの営業開始による運輸セクターの成長や、新型コロナウイルス感染に対する規制の緩和による観光セクターの回復、鉱物開発や電源開発に支えられたと指摘。一方で、電気・電子部品製造業は需要の減退やサプライチェーンの断絶がみられ、建設業も複数の大型プロジェクトが完了する中、公共・民間投資が減少したことから低迷していると分析した。
財政再建を進める中、2022年上半期(1~6月)の歳入は、新型コロナウイルス感染拡大前の水準を下回るものの前年同期と比較して25%増と徐々に回復しており、上半期の財政バランスはGDP比0.7%の黒字を達成したと分析した。とりわけ、公的債務への利払い実績は予算を大幅に下回っており、主要な2国間債権国からの繰り延べ救済が2020年以降行われているものと推定した。また、これらの返済猶予累積額は2021年にはGDP比で3.6%、2022年には8%を超えると推定した。それでも、歳出額に占める利払い額は10%を超えており、財政負担が増大しているとも指摘している。以前から課題が指摘されているラオスの公共・公的保証債務は、2020年には133億ドル(GDP比73%)、2021年には145億ドル(GDP比89%)に拡大し、自国通貨安や国内債券の追加発行により2022年末にはGDP比で100%を超えると予測した。うち国営企業による借り入れが2021年時点で43%を占める中、電力公社など主な国営企業は現地通貨で収益を得ていることから、通貨キープ安は財政リスクを拡大させているとも指摘した。
2023年の経済成長率の見通しは、債務返済の繰り延べが継続されるという前提で、3.8%に回復すると予想した。しかし、米国の利上げはキープ安と、インフレ圧力をさらに高めると指摘した。経済を持続手可能な軌道に乗せるためには、主要な債権国との債務再交渉を成功させることが重要とした。
(山田健一郎)
(ラオス)
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