カナダ政府代表、COP27で気候変動に脆弱な国々へのイニシアチブを発表
(カナダ、米国、チリ)
米州課
2022年11月22日
カナダ政府のスティーブン・ギルボ環境・気候変動相は11月18日、エジプトで開催された国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)への参加を終えて、声明を発表した。ギルボ大臣は、キャサリン・スチュワート気候変動担当大使とスティーブン・クーン気候変動担当首席交渉官らを率いてCOP27に参加した。なお、前回のCOP26に出席したジャスティン・トルドー首相は今回欠席した。
声明ではまず、パリ協定の下で、気候変動の緩和、気候変動ファイナンス、気候変動への適応といった重要な問題に、目立った変化を起こす(move the needle)ことにスポットが当てられていたことを挙げた。その上で、カナダは、気候変動による「損失と被害」を被っている国々が抱える問題に耳を傾け、今後も解決に向けた取り組みを継続していくと述べた。
カナダは会期中、温室効果ガス(GHG)排出削減、脆弱(ぜいじゃく)な発展途上国のための気候資金調達、クリーンエネルギーへの移行などに関し、多くの新規のコミットメントと投資を数々の国と合同で発表している。今回の声明では、まず、石油・ガス部門からのGHG排出量削減について、メタンに特に重点を置いた対策をさらに進めるべく、米国との協力を強化すると発表したことに触れた。化石燃料からのGHG排出削減に関しエネルギー輸入国・輸出国による共同宣言(注)への参加は、この米国との協力関係強化の一環にあると説明している。共同宣言では、参加国が2030年までにメタン排出量を少なくとも75%削減するというコミットメントを再確認している。また、これらの目標達成のため、カナダ国内のメタン規制の骨子についても発表で言及したほか、メタン排出データの衛星による収集と監視・ブラック ジャック ディーラー ルール共有を支援する「国際メタンガス排出量観測所(IMEO)」への参加も表明した。
また、気候変動に脆弱な国々への支援として、合計8,425万カナダ・ドル(約89億3,050万円、Cドル、1Cドル=約106円)の実践的なイニシアチブを多数発表した。当該支援は、53億Cドルの国際気候変動ファイナンスへのコミットメントやCOP27におけるそのほかの資金源を通じて実施される。
クリーンエネルギーの推進に関しては、COP26でジャスティン・トルドー首相が立ち上げた、カーボンプライシングを世界的に推進する「グローバル・カーボン・プライシング・チャレンジ」について、チャレンジの目標を前進させるため、世界銀行とのパートナーシップに1,600万Cドルの追加資金提供を行うと発表した。
COP27ではそのほか、気候変動と自然保護、生物多様性の損失の阻止、自然に基づく解決策の発見との関係にもスポットが当てられた。生物の多様性保護については、カナダ・モントリオールで2022年12月5日から19日にかけて、国連生物多様性条約(CBD)第15回締約国会議(COP15)の開催が予定されている。
(注)米国、EU、日本、ノルウェー、シンガポール、英国、カナダの7カ国・地域による文書。
(高山さわ)
(カナダ、米国、チリ)
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