キヤノン、メディカル事業強化のため米オハイオ州に新会社設立へ

(米国、日本)

米州課

2022年11月25日

キヤノンは11月24日、2023年1月に新会社キヤノン・ヘルスケアUSAを設立すると発表した。米国オハイオ州のクリーブランド市近郊に拠点を構える予定だ。

キヤノングループはこれまで、メディカル事業のマーケティング機能を子会社のキヤノンメディカルシステムズに集中させていたが、その機能の一部を新会社に移管し、「グローバルマーケティングセンター」を立ち上げるという。同グループは、拠点候補地のクリーブランド市近郊に、MRIの基幹部品を開発・製造する子会社クオリティー・エレクトロダイナミクスを保有している。同社は今後、新会社の傘下に位置付けられ、システム事業とコンポーネント事業の連携強化が図られる。

また、同グループがボストンのヘルスケア・オプティクス・リサーチ・ラボラトリー(HORL)で進めてきた、マサチューセッツ総合病院およびブリガム・アンド・ウイメンズ病院との先端技術にかかる研究活動について、キヤノンメディカルシステムズが引き継ぎ、事業化に向けた研究活動を継続する。

コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーの調査外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、米国ヘルスケア業界のEBITDA(注)は、新型コロナ禍前の2017年から2019年にかけて年平均5%成長しており、2021~2025年の成長率は年平均6%と試算されている。また、OECDの保健医療に関する統計によると、38加盟国における2019年の1人当たり年間医療支出は4,087ドルだったのに対し、米国では世界トップとなる1人当たり1万948ドルだった。バイデン政権が国民の医療費負担の軽減に取り組む一方、業界の市場規模は引き続き拡大していく見通しだ。

キヤノン・ヘルスケアUSAは、米国およびグローバルにおけるメディカル事業のマーケティング業務などを担い、将来的には米国内での開発・製造など、ほかの機能を拡充する可能性があるとしている。また、同社はフォトンカウンティング検出器搭載型X線CTの実用化に向け米国医療機関と共同研究を開始し、CT分野における世界トップシェアの獲得を目指すと述べている。

(注)Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortizationの略で、税引き前利益に支払い利息、減価償却費を加えて算出される利益を指す。

(片岡一生)

(米国、日本)

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