世界銀行とグリーン水素促進協定を締結、米州開銀を加えた融資額は最大7.5億ドル

(チリ)

サンティアゴ発

2022年11月21日

チリ産業振興公社(CORFO)は1111日、世界銀行と「回復力のある包括的なグリーン経済の発展を支援するグリーン水素施設プロジェクト」と題したグリーン水素イニシアチブを促進する協定に署名した。署名はエジプトで開催中の国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)の中で行われた。

同協定は、世界銀行がCORFOに対し、第1段階として2023年に15,000万ドル、その後の第2段階として2億ドルの融資を行うことで、チリ国内のグリーン水素産業の発展に貢献することを目的としている。マリオ・マルセル財務相は「この協定は数カ月の準備期間を経て署名に至った。双方の国際機関がもたらす知識やリソース、経験は将来的には、国内のグリーン水素産業への民間企業の参入を促す後ろ盾となり得るだろう」と発言し、協定への期待を示した。財務相はまた、CORFOが米州開発銀行(IDB)との合意により、グリーン水素産業の支援を目的に最大で4億ドルの融資が行われることも併せて発表している。

ディエゴ・パルドウ・エネルギー相は、前セバスティアン・ピニェラ政権時に発表されたグリーン水素国家戦略(20201112日記事参照)を現政権下でも維持すると、COP27の場で明言した。エネルギー相は「2023年から2030年までの行動計画の中で求められているものは、グリーン水素の大量生成や数百万ドルの資金調達のみにとどまらず、温室効果ガスの具体的な削減目標を設定した上で、人々や地域、環境との調和や合意をもって行われる具体的なアクションだ」とコメントしている。

環境相、チリのNDC強化を発表

マイサ・ロハス環境相は1114日、COP27で、チリのNDC(国が決定する貢献)を強化することを発表した。内容としては、気候変動枠組み法や長期気候戦略(20211116日記事参照)を更新し、2030年までに水陸双方の生態系を保護する面積を現在と比較して少なくとも100万ヘクタール拡大することや、増加傾向にある国全体のメタン排出量を2025年までに抑制することなどが挙げている。

(岡戸美澪)

(チリ)

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