欧州18産業団体、低炭素燃料の普及に向けエネルギー課税指令改正案の早期合意を要望

(EU)

ブリュッセル発

2022年11月17日

欧州自動車部品工業会(CLEPA)、合成燃料(e-fuel)の生産を推進する企業や団体などが参加するイーフューエル・アライアンス(eFuel Alliance)など、欧州の自動車やエネルギー関連の18団体は11月9日、EU加盟国に対してエネルギー課税指令の改正案について速やかに合意することなどを求める書簡PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を送ったと発表した(CLEPAのプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。欧州委員会が2021年7月に発表した気候政策パッケージにおいて提案した同指令の改正案(関連ブラック ジャック やり方、注)は現在、EU理事会(閣僚理事会)と欧州議会において審議が続けられている。

18団体は、欧州グリーン・ディールの達成には、税制面での優遇を設け、再生可能で低炭素な全ての気体、液体燃料の生産を増やし、化石燃料からの置き換えを加速させることが不可欠だと主張。小売価格に大きく反映される税率を、欧州委案のとおり燃料のエネルギー量や環境負荷に応じて設定することは、消費者の行動を変化させるだけでなく、再生可能で低炭素な燃料の開発・生産への高額な投資コストに見合う重要な経済的インセンティブになるとした。また、現在のエネルギー危機と、家計や企業への影響への懸念から、改正案について合意形成には時間を要することに理解を示しつつも、現時点では持続可能な燃料の普及率は低く、短期的には加盟国の税収に影響を与えずに産業利用の促進につながるとした。さらに、持続可能な燃料への移行は中長期的には、より多様で、危機への対応力の高い、コスト効率的なエネルギー供給を実現させるとした。改正案は加盟国の税収も引き続き安定するように設計できるとして、再生可能で低炭素な燃料の増産には改正案の成立に向けた努力が必要だと述べた。

そのうえで、18団体はEU理事会に対して、改正案について早期に合意し、また低炭素燃料などが含まれる混合燃料の最低税率に関する条項と、航空および海運部門が使用する持続可能な燃料の最低税率に関する条項について、最終案でも欧州委案を維持するべきだとした。

混合燃料の最低税率の計算に関する実施法令の策定を求める

低炭素燃料などが含まれる混合燃料の税率については、欧州委の改正案第2条6項では最終製品が該当する関税品目分類に基づくのではなく、配合された各燃料の比率に応じて定めるとしている。すなわち、再生可能な低炭素燃料の配合比率が高いほど税率が低くなり、18団体は再生可能な低炭素燃料の生産増加への明白なインセンティブとなるとしている。税率の計算方法を定める必要があるが、計算方法によっては加盟国の歳入に大きな影響を与えかねないとも指摘。そこで、最終案において同条項を維持することを求めると同時に、同条項の実用的な運用に向けたステークホルダー間の専門的な議論を行うために、実施法令を策定するよう求めた。

また、航空・海運部門が使用する燃料については、持続可能な燃料の最低税率を適用開始から10年間はゼロを維持することで普及を図ると同時に、両部門の財政負担のさらなる軽減のため、すでにEU排出量取引制度(EU ETS)改正案(関連ブラック クイーン ブラック)の審議において、EU理事会、欧州議会双方がそれぞれの修正案に盛り込んだとおり、EU ETSから得られる収入の一部を両部門のグリーン化支援に充てるべきだとした。

(注)調査レポート「『欧州グリーン・ディール』の最新動向(第 2 回)政策パッケージ「Fit for 55」におけるカーボン・プライシングと再生可能エネルギー関連政策PDFファイル(855KB)」も参照。

(滝澤祥子)

(EU)

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