サントメプリンシペでクーデター未遂
(サントメプリンシペ、アフリカ)
中東アフリカ課
2022年11月29日
アフリカ中部のサントメプリンシペで11月25日未明、クーデター未遂事件が発生した。パトリス・トロボアダ首相は国民議会のデルフィン・ネーベス前議長を含む4人を拘束したと発表した。声明によると、ネーベス氏らは陸軍本部への攻撃を試みたという。今回の事件によって4人が死亡したと報告されている。
サントメプリンシペでは9月に議会選挙が行われ、トロボアダ氏が党首を務める「独立民主行動(ADI)」が、ジョルジ・ボン・ジェズース首相(当時)の「解放運動・社会民主党(MLSTP–PSD)」やネーベス氏の「民主集合党(PCD-GR)」などの与党勢力を抑えて過半数を獲得し、政権交代を実現。11月11日にトロボアダ内閣が発足した。
今回のクーデター未遂事件を受け、トロボアダ首相は声明で「これは強盗でも窃盗でもなく、戦争兵器を用いた国軍に対する攻撃」と述べた上で、「投票箱と主権者である国民の意思に従わない個人が国家を汚している」と非難した。また、同首相は犯人グループを無力化したとしつつ、軍内部からの支援の有無を含め、今後も事件について調査を進める方針だとしている。
クーデター未遂事件に対しては、外部からも非難の声が上がっている。西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)議長を務めるギニアビサウのウマロ・シソコ・エンバロ大統領は「サントメプリンシペで起きたクーデター未遂事件を最も強い言葉で非難する。サントメプリンシペは、アフリカにおける議会制民主主義のモデルとされる国の1つだ」とした。また、アフリカ連合(AU)議長を務めるセネガルのマッキー・サル大統領は「AUは断固として、武力による権力掌握を否定する」とする非難の声明を発している。
(梶原大夢)
(サントメプリンシペ、アフリカ)
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