上海臨港新エリア、ワールド・ロジスティクス・パスポート(WLP)を推進
(中国、アラブ首長国連邦)
上海発
2022年11月10日
上海市政府は11月3日、上海自由貿易試験区臨港新エリアと、アラブ首長国連邦(UAE)ドバイのジュベル・アリ・フリーゾーン(JAFZ、注1)が覚書を締結し、ワールド・ロジスティクス・パスポート(WLP、注2)を共同で推進すると発表した。
覚書では、双方が投資の自由、貿易の自由、資金の自由、輸送の自由、人材移動の自由などの分野で新たに協力していくとした。臨港新エリアはJAFZ支援下で国際的な開放型システムを構築する。ドバイ側は臨港新エリアをプラットフォームとして、WLP計画を推進するとした。
臨港新エリア管理委員会特殊総合保税区の林益松処長は「JAFZでは、税制、企業サービス、新業種の育成と発展などに知見がある。定期交流の機会を設け、その先進的な経験を参考に、自由貿易区制度の革新を共同で模索する」と述べた。
海上ターミナル経営会社DPワールド中国区の周晶総経理は「WLP計画は、新興国市場同士の貿易機会の増加を目的として、既に20カ国以上で実施されている。臨港新エリアとJAFZの連携は、それぞれの投資や貿易、物流面の協力をさらに拡大し、中国企業の通関手続きの簡素化やコストの削減につながるだろう。また、2国間のみならず、多国間の貿易往来をさらに活性化させることに役に立つことが期待される」と述べた。(「界面新聞」2022年11月2日)。
なお、1~9月の臨港新エリアの洋山特殊総合保税区の輸出入額は、前年同期比53%増の1,459億元(約2兆9,180億円、1元=約20円)を実現している。
JAFZは2021年12月に中国国内で初めて、福建港と覚書を締結し、WLP利用を開始した。
(注1)1985年に設立された中東地域最大の自由貿易港。
(注2)2020年1月にドバイ政府傘下企業のドバイ・ロジスティクス・ワールドが立ち上げた貨物物流関連企業向けの制度。ワンストップの国際物流網を創造することを目的とし、加盟国・各地域の企業は貨物の迅速な追跡、通関時間の短縮、管理費用の免除などの優遇サービスを享受することができる。
(宋青青)
(中国、アラブ首長国連邦)
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