東南アジア6カ国のデジタル経済市場、2022年は前年比2割増の見込み

(ASEAN、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)

シンガポール発

2022年11月01日

米国グーグル、シンガポール政府系投資会社テマセク、米コンサル会社ベイン・アンド・カンパニーは10月27日、東南アジア主要6カ国(インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)の2022年のデジタル経済の規模が前年比20%増の1,940億ドル〔流通取引総額(GMV)基準〕になるとの見通しを発表した。

同調査は2016年に発表されて以降、今回で7回目となる。2021年の前回調査では、2021年のデジタル経済の規模を前年比49%増の1,740億ドル、2021年以降2025年までの期間は年平均で20%ずつ成長し、2025年には3,630億ドルに達すると見込んでいた(、注)。今回の調査でも、2022年以降2025年までの期間に年平均で20%ずつ成長すると見込むが、2021年水準の違い(前回調査:1,740億ドル、今回調査:1,610億ドル)などにより、2025年の市場規模は3,300億ドルと前回調査の水準から引き下げられるかたちとなった。

デジタル経済の規模は、(1)電子商取引(EC)、(2)運送・食品(フードデリバリー)、(3)オンライン旅行(航空、ホテルなど)、(4)オンラインメディア(広告、ゲーム、ビデオ、音楽)の4分野からなる。今回の共同調査で、4分野の2019年から2025年までの成長軌道は一様ではなく、(1)正常に戻りつつも、成長の勢いが持続するS字型(例:EC)、(2)新型コロナウイルス感染症パンデミック前のトレンドへの回帰(フードデリバリー、オンラインメディア)、(3)パンデミックの落ち込みから回復するU字型(運送、オンライン旅行)に分かれるとの見解が示された。

今回の調査によると、2022年の東南アジア主要6カ国のインターネットユーザーは、前年比4%増の4億6,000万人となると見込まれている。2022年に新たにネットを利用するようになった人口は2,000万人と、2020年と2021年の各4,000万人から減少した。調査では、「デジタルの利活用・定着が成熟する中、成長のための余地をさらに広げるには、消費者セグメントごとの利用行動を理解することが必要」とし、「デジタルプレーヤーの大半は、新規顧客の獲得から、既存顧客とのより深い関わりへと優先順位をシフトしている」と指摘した。

(注)2016年の調査以降、「インターネット経済」と称していた。

(朝倉啓介)

(ASEAN、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)

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