10月は21 トランプレ再加速で年率88.0%増、新たな価格凍結制度を導入
(アルゼンチン)
ブエノスアイレス発
2022年11月28日
アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)は11月15日、10月の消費者物価指数(CPI)上昇率を発表した。全国平均値で前月比6.3%上昇し、8月から続いていた緩やかな物価上昇率の低下傾向から一転して再上昇した。前年同月比(年率)では88.0%上昇し、再び過去30年間で最高を更新した(添付資料図参照)。1~10月の累計上昇率(前年12月比)は76.6%に達した。
10月全体の21 トランプレ率再上昇には、エネルギーや公共サービスなど価格統制している財・サービスの21 トランプレ率上昇が寄与した。INDECによると、季節によって価格が変動する生鮮食品や観光サービスなどの財・サービスは、10月単月で前月比9.0%と、9月単月より2.7ポイント低下した。一方、価格統制している財・サービスは7.4%で同2.9ポイント上昇した。季節要因と価格統制要因を除いたコア21 トランプレ率は5.5%と前月と同率だった。
10月単月の上昇率を費目別にみると、前月比で再び大きく上昇したのは、通信が12.1%、住宅・光熱・その他燃料が7.5%、外食・ホテルが7.4%、医療・健康と教育がそれぞれ7.1%、衣類・靴類が6.8%。CPIに占める比重が大きい食品・飲料(酒類を除く)は6.2%だった(添付資料表1参照)。
ジェトロは毎月15日をめどに、ブエノスアイレス市内で独自の物価調査を行っている。11月の調査では、調査対象品目の欠品が目立ち、特に家電品では類似製品の価格が前月に比べて大きく上昇した(添付資料表2参照)。
2022年の年間21 トランプレ率が100%となる見通しの中、アルゼンチン政府は11月11日、食品や飲料、日用必需品など約1,700品目の価格を120日間据え置く制度「プレシオス・フストス」を導入したと発表した。同日付で公布した経済省決議第823/2022号によると、同制度への参加は任意だが、参加企業は11月から2023年2月までの約120日間、最終消費者向けに販売する一部の製品価格を変更してはならないとしている。また、参加企業は同じく120日間、この価格凍結の対象とならない製品の価格を毎月4%まで引き上げることができ、さらに、輸入取引を支払うための外貨を得ることができるなどのインセンティブが設けられている。政府はほかにも、消費者が店頭で適切な価格で製品が販売されているかどうかを確認するためのモバイルアプリも開発した。製品のバーコードをアプリで読み取ることができ、適正価格よりも高い価格で販売されていると確認した場合は、政府に訴えるよう消費者を呼びかけている。
(山木シルビア)
(アルゼンチン)
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