富士フイルム、1.9億ドルを投じ米ノースカロライナ州に培地の生産拠点新設へ
(米国、日本)
アトランタ発
2022年11月30日
富士フイルムは11月22日、1億8,800万ドルを投じて米国ノースカロライナ州のリサーチ・トライアングル・パーク(注1)に、細胞培養の培地の生産拠点を新設することを発表した。子会社でバイオ医薬品や遺伝子治療薬生産などに必要な先端細胞培養法の開発・製造を行うフジフイルム アーバイン サイエンティフィックが新拠点を運営する。cGMP(注2)に準拠し、動物由来成分を含まない粉末や液状の培地の生産能力を拡大し、バイオ医薬品の生産や先端医療を支える培地の需要増に対応する計画だ。同社にとってノースカロライナ州の新拠点は、米国ではカリフォルニア州の既存拠点に次ぐ2カ所目、世界全体では5カ所目(注3)の培地の生産拠点となる。約2万3,500平方メートルの新たな生産拠点では、バイオプロセスのエンジニアをはじめ100人以上を雇用し、2025年初めに稼働開始を予定している。
日系医薬品メーカーの投資続く
ノースカロライナ州では近年、日系医薬品メーカーの新規進出や事業拡大投資が続いている。富士フイルムは、2021年3月に子会社フジフイルム・ダイオシンス・バイオテクノロジーズ(FDB)が20億ドルを投じてバイオ医薬品の生産拠点を建設することを発表したほか(2021年3月23日記事参照)、2022年1月にもリサーチ・トライアングル・パークにあるFDBのバイオプロセス・イノベーションセンターの拡張と145人の追加雇用を発表している。ほかにも、住友ファーマが2022年4月に3,400万ドルを投じて再生医療に使用する細胞製品製造施設(CPC)を建設することを発表し、アステラス製薬が6月に新たに遺伝子治療薬製造施設の稼働を開始した(2022年6月20日記事参照)。同州が投資誘致に力を入れていることもあり、ジェトロは6月、同州へ日本企業によるミッションを派遣している(2022年6月30日記事参照)。
(注1)全米最大級のハイテクパークで、優秀な人材を輩出している全米トップレベルの研究大学3校(デューク大学、ノースカロライナ州立大学、ノースカロライナ大学チャペルヒル校)を結ぶ三角形の中に、1959年に設立された。
(注2)医薬品適正製造基準。current Good Manufacturing Practiceの略。
(注3)米国以外の生産拠点は日本(埼玉県、愛知県)、オランダの3カ所。
(石田励示)
(米国、日本)
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