COP27でゼロエミッション車への移行に向けた取り組み発表

(英国、エジプト)

ロンドン発

2022年11月24日

英国政府は11月16日、国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)で、ゼロエミッション車(ZEV)への移行の加速に向け、新たな措置を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

まず、パリ協定に即したZEVへの移行を世界的に実行するための協働プラットフォーム「ゼロ排出同盟への加速(Accelerating To Zero Coalition)」を発表。同プラットフォームは、英国、国連行動ハイレベルチャンピオン、輸送関連の国際機関などにより構成されており、ZEV声明への署名機関に対し、ワークショップや支援、ベストプラクティスの共有などを行う。

ZEV声明は、COP26の際に発表された、新車販売のゼロエミッション化に向けた声明(注、2021年11月12日記事参照)。署名機関はCOP26開催時の130から現在は210超へと増加し、主要国ではスペインとイタリアが今回新たに署名した。

また、新興市場・開発途上国(EMDE)向けの新たな支援パッケージも発表した。概要は以下のとおり。

  • グローバルコミットメント:米国、ドイツ、日本、オランダ、韓国、スウェーデン、英国が署名。援助を拡大するほか、既存基金をZEVへの移行に沿うものにするための目標を示す。
  • インドとのZEVパートナーシップ:英国と米国が署名、インドのZEVコミットメントの実行に向けてインパクトのある支援を行う。
  • ZEVラピッドレスポンスファシリティー:EMDE諸国の政府に対する短期的かつ迅速な技術援助を通じ、大規模プロジェクトやZEV移行に対する基金の実施を支援する。
  • ZEV新興市場イニシアチブ:米国主導でEMDE諸国の政府と主要多国籍企業との対話を促進、投資の拡大を支援する。英国政府、持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)と連携する。

このほか、世界銀行による輸送の脱炭素化に向けた国際ファシリティーの第1弾も発表され、インドやガーナなどの輸送機関の電化プロジェクトなどが対象とされた。同ファシリティーは、COP26で発表された英国からの資金提供も受けて実施される。また、英国、米国が共催するZEV移行評議会(ZEVTC)も新たな年次行動計画を発表、インフラ、ZEVへの移行における車両の役割、消費者に対する公平なアクセス、より公正な移行の支援などが盛り込まれた。

(注)販売される全ての新車を、主要市場で2035年までに、世界全体では2040年までに電気自動車(EV)などのゼロエミッション車とすることを目指す声明。

(山田恭之)

(英国、エジプト)

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