習国家主席が岸田首相と会談、ハイレベルの対話強化などで共通認識
(中国、日本)
北京発
2022年11月21日
中国の習近平国家主席は11月17日、タイ・バンコクで岸田文雄首相と会談を行った。
習国家主席は中日国交正常化後の50年について、各分野での交流と協力により、両国の人々に幸福をもたらし、地域の平和、発展、繁栄を促進してきたと評価した。
その上で、歴史問題、台湾問題は両国関係の政治的基礎と基本的信義に関わり、約束を守り適切に対処すべきとした。
また、海洋問題や領土問題について、原則的合意を厳守し、政治的な知恵と責任感で対立を適切に管理すべきとした。政府、政党、議会、地方の往来・交流を行い、積極的な青少年交流を通じて相互に客観的で前向きな認知を形成すべきと強調した。
経済については、両国経済は相互に依存しており、デジタル経済、グリーン発展、財政・金融、医療・高齢者ケア、産業チェーン・サプライチェーンの安定性や円滑性の維持などで対話・協力を強化すべきとした。
中国外交部は、双方は以下5点の共通認識に達したと発表した。
- 中日関係の重要性に変わりはなく、今後も変わることはない。ともに中日の4つの政治文書(注1)の原則を順守し、「互いに協力のパートナーであり、脅威とならない」という政治的共通認識を実践する。ハイレベルの往来と対話を強化し、政治的信頼を強め、ともに新時代の要求に一致する建設的で安定した中日関係の構築に取り組む。
- 早期に新たな中日ハイレベル経済対話を実施し、省エネ・環境保護、グリーン発展、医療・介護、高齢者ケアなどの分野での協力を強化し、ともに企業に対し公平で、無差別の、予見性のあるビジネス環境を提供する。
- 中日国交正常化50周年に関する一連の活動を評価する。早期に新たな中日ハイレベル人文交流協議メカニズム会議を実施する。政府、政党、議会、地方および青少年などの往来・交流を積極的に行う。
- 早期に国防部門の海・空連絡メカニズムホットラインを開通し、防衛、海上部門の対話を強化し、2014年の4つの原則的共通認識(注2)をともに順守する。
- 国際地域の平和と繁栄を守る責任をともに背負い、国際地域の問題について協調・協力を強化し、グローバルな課題対応に努力する。
11月15日付の環球時報は、「日本が会談を求めてきた」のは中米関係の積極的な動き(注3)の影響であり、「中国が原則を堅持し、自律を保てば、中国外交には広々とした空間が開けている」と評した。
(注1)1972年の日中共同声明、1978年の日中平和友好条約、1998年の日中共同宣言、2008年の日中共同声明を指すとされる。
(注2)2014年に示された、東シナ海などをめぐる状況悪化回避などを含む4つの共通認識。
(注3)米国のジョー・バイデン大統領との会談については関連ブラック ジャック ルール、2022年11月16日記事参照)。
(河野円洋)
(中国、日本)
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