バイデン米大統領、中間選挙を受けて記者会見、共和党に協力呼びかけ
(米国)
ニューヨーク発
2022年11月10日
米国のジョー・バイデン大統領は11月9日、前日に行われた連邦議会中間選挙を受けて記者会見を行った。
上下両院ともに全体の結果は確定していないものの、バイデン大統領は、選挙前に予想されていた「共和党の波」は起こらなかったとし、引き続き両院ともに民主・共和両党の議席数は僅差になるとの見方を示した(2022年11月10日記事参照)。その上で、有権者は終わりのない政争にあきれているとし、共和党に対して意義のある政策実行のために協力するよう呼びかけた。また、会見の冒頭では、政権発足以降の2年間の成果を振り返り、当初の最大の課題と位置付けていた新型コロナウイルス感染対策と経済の再生については、いまや米国民の生活が新型コロナウイルスに振り回されることはなくなり、失業率も当時の6%以上から3%台に大きく減少したと強調した。一方で、有権者が引き続き最大の懸念としてインフレを挙げている点を認識しているとし、これまでに成立させた「インフラ投資雇用法」や「インフレ削減法」、「CHIPSおよび科学法」などを基に対処していくとした。ただし、これらを実施して効果が出るには時間が必要だと、理解を呼びかけた。
選挙後の政治運営については、11月15~16日にインドネシア・バリ島で開かれるG20サミットから戻り次第、上下両院のリーダーをホワイトハウスに招いて、年内および2023年以降の課題を議論して協力を模索していくとした。一方で、共和党が下院で多数を奪還した場合に、民主党が単独採決で成立させた「インフレ削減法」に含まれる薬価引き下げや気候変動対策の実行を阻むなど、民主党と対立する政策を掲げている点について、既に実行に移している政策については拒否権を行使してでも変えるつもりはないと牽制した。
会見後半には記者の質問に回答した。その中で、2024年の大統領選挙で再選に向けて立候補するか問われた際、バイデン大統領は立候補の意向はあるとしつつ、家族との議論を経て2023年の早い段階で決めるとした。また、ドナルド・トランプ前大統領が近く立候補表明を行う可能性がある点については、同氏が再び権力を握ることができないということを米国民は証明しなければならないとした。外交について、G20サミットで中国の習近平国家主席に対して米国は台湾を防衛する意思があると伝えるのかとの問いに対して、直接的な回答は避けつつ、台湾も含めて地域的な国際関係や公正な貿易のあり方などについて議論を行う予定だとした。
(磯部真一)
(米国)
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