米ASEAN首脳、「ASEAN・米国包括的戦略パートナーシップ」立ち上げを発表

(米国、ASEAN)

米州課

2022年11月14日

米国とASEANは11月12日、カンボジアのプノンペンで開催された第10回米国・ASEAN首脳会議で「ASEAN・米国包括的戦略パートナーシップ」立ち上げを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。これに関するファクトシート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、今回の「包括的戦略パートナーシップ(CSP)」は、これまで両者の間で結んでいた「戦略的パートナーシップ」を格上げしたもので、米国・ASEAN特別サミットの共同ビジョンに関する声明の中で挙げた目標と原則(注)を引き継ぐものとしている(2022年5月17日記事参照)。

ジョー・バイデン大統領は第10回米国・ASEAN首脳会議に関する声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで「ASEANはわれわれの政権のインド太平洋戦略における中心にあり、強大で統一されたASEANと歩調を合わせて働くというコミットメントを引き続き強化する」と述べ、ASEANとの連携の重要性を強調した。その上で「われわれは気候変動や健康安全保障といった大きな課題に取り組むとともに、ルールに基づく秩序や法の支配に対する重大な脅威から(インド太平洋地域を)守り、自由で開かれた、安定し反映する、強靭(きょうじん)で安全なインド太平洋を構築していく」とし、CSPへの格上げの意図を述べた。

EVエコシステムの構築など、個別領域での協働に向けた戦略も発表

また、バイデン大統領は同日、「ASEAN・米国EVイニシアチブ」も発表した。同イニシアチブは、東南アジアでの統合的な電気自動車(EV)エコシステムの構築に協力し、地域の連結性を高めるとともに、ASEAN諸国が野心的な排出削減目標を達成できるようにすることを目標としている。具体的には、(1)EVインフラの計画、統合、配備のサポート、(2)EV導入ロードマップの策定支援、(3)東南アジア全域でのEV導入加速に向けた能力開発と技術支援、(4)米国企業とのパートナーシップの促進とASEAN政府および企業に向けた米国のソリューションや技術の紹介が行われる。

(注)(1)新型コロナウイルスのパンデミックとの闘い、より良い公衆衛生における安全保障の構築と回復での協力、(2)経済関係と連結性の強化、(3)海洋での協力促進、(4)人的連結性の強化、(5)サブリージョンの開発支援、(6)技術の底上げとイノベーションの促進、(7)気候変動への対応、(8)平和の維持と信頼の構築の8つ。

(滝本慎一郎)

(米国、ASEAN)

ビジネス短信 5cb0c28a07ec3f96