新設石油化学コンビナートでポリプロピレン生産開始

(カザフスタン)

タシケント発

2022年11月16日

カザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領は118日、遊説先の西部の都市アティラウ市で、石油化学コンビナートの開所式に出席した(大統領府ウェブサイト118日)。

同コンビナートは、国営石油公社カズムナイガス(KMG)の子会社のカザフスタン石油化学工業(KPI)が運営し、自動車部品や包装材料など幅広い用途を持つポリプロピレンを生産する。コンビナートの年間生産能力は50万トンで、世界シェアの1%に相当する。原料となるプロパンはアティラウ州内のテンギス油田から鉄道で運搬する。総建設費は26億ドルで、建設は中国化学工程(CNCEC)が請け負った。米国エンジニアリング企業大手ラムス・テクノロジーの技術を採用し、プラント機器の70%以上は欧米や日系企業から採用した。建設に4,300人を雇用し、事業開始時点で631人の正規雇用が見込まれている。

これまでカザフスタン国内のポリプロピレン生産量は年5万トン程度で、国内需要を満たせず、不足分をロシアからの輸入に頼ってきた。KPIは、コンビナートの稼働により現在の国内需要を満たすだけでなく、新たな国内産業の可能性を広げると期待している。また、生産量の9割を中国、トルコ、欧州、CIS諸国に輸出する計画だ(「フォーブス・カザフスタン」119日)。第2フェーズではポリエチレンとブタジエン(注)の生産設備を増設する計画だ。

トカエフ大統領は同じ8日にアティラウ市で演説し、カザフスタンが世界有数の石油ガス埋蔵量を誇りながら、石油化学製品の95%を輸入に頼っている現状に触れ、アティラウ州の特別経済区「石油化学テクノパーク」に石油化学製品の生産拠点を構築する考えを発表した。また、石油の大規模な備蓄施設の建設を提案し、産業の多角化とエネルギーの安定供給、地域の雇用確保を目指すと述べている(「カズインフォルム」118日)。

(注)ブタジエンは合成ゴムや合成樹脂の原料となる。

(増島繁延)

(カザフスタン)

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