英政府、研究開発分野への投資コミットメントを発表
(英国、EU)
ロンドン発
2022年11月30日
英国のグラント・シャップス・ビジネス・エネルギー・産業戦略(BEIS)相は11月21日、英国内の研究開発(R&D)分野に向けた4億8,400万ポンド(約808億円、1ポンド=約167円)規模の支援パッケージを発表した。
今回のパッケージは、EUの科学・エネルギー関連の補助金プログラム(注)への英国の参画をEUが承認していないことに対する措置。英EU間の通商・協力協定(TCA)で、これらのプログラムへの参加は原則合意していたものの、アイルランド・北アイルランド議定書を巡る対立の中で、EU側が承認を拒否しているとされている。
今回発表した支援パッケージには以下が含まれる。
- EUから人材ベースの補助金を獲得した実績がある大学や研究機関に向けた3,000万ポンドの人材・研究安定化資金。
- イングランドの大学向けの研究の質に基づいて配分される(Quality-Related funding)1億ポンドの資金。および、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの大学向けの追加資金。研究スタッフの雇用や、新たな研究分野の継続などに用いることで、英国の研究能力を強化。
- 英国の研究インフラ構築と維持のための2億ポンドの資金。
- 核融合産業プログラムの能力強化や商用イノベーションの促進に向けた4,210万ポンドの資金。
- 世界最大級の核融合実験施設である欧州トーラス共同研究施設(JET)への支援の8,400万ポンドの資金。
また、英国政府は2021年11月、EUの科学・エネルギー関連の補助金プログラムの1つ「ホライズン・ヨーロッパ」で欧州委員会により採択された英国の申請者に対して、EUとの最終合意結果にかかわらず、英国研究・イノベーション機構(UKRI)を通じて補助金を提供するとした。同措置は2022年末までに「ホライズン・ヨーロッパ」の補助金プログラムに採択された内容が対象となる。
(注)EUの研究開発支援枠組み「ホライズン・ヨーロッパ」、欧州原子力共同体(Euratom)、エネルギー用核融合プログラムなど。
(レイナー・あや)
(英国、EU)
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