米年末商戦、最初の5日間の買い物客数は前年を上回る、大幅な値引きが売り上げ増に寄与
(米国)
ニューヨーク発
2022年11月30日
全米小売業協会(NRF)は11月29日、米国の年末商戦の始まりとされる、感謝祭(11月24日)から翌週月曜日(11月28日)までの5日間の買い物客数を発表した。実店舗とオンラインを合わせた買い物客数は1億9,670万人となり、2021年の1億7,980万人を上回り、NRFが2017年に同データの調査を開始して以来、過去最高となった。
2022年は、過去2年間のパンデミックを経て、従来の年末商戦の購買体験を求め、実店舗への客足が増えた。感謝祭からの5日間における実店舗への来客数は前年比17%増の1億2,270万人となった。5日間のうち、来客数が最も多かった日は、2021年までに引き続き感謝祭翌日の「ブラックフライデー」で、1日の買い物客数は7,290万人に達し、前年の6,650万人を上回った。また、ブラックフライデー翌日の土曜日も6,340万人に達し、前年の5,100万人を上回った。
オンラインでの購入者数は、前年同期比2%増となる1億3,020万人だった。米国アドビ・アナリティクスによると、ブラックフライデーのオンライン売上高は前年比2.3%増の91億2,000万ドルに上り、統計開始以来初の減少となった2021年から増加に転じ、過去最高に達した。また、11月19日からの1週間の後払い決済〔バイナウ・ペイレーター(BNPL)〕は、前週と比較して78%増加するとともに、売上高も81%増と大幅に伸びた(CNBC11月26日)。インフレが続く中、支払いを分割するため、多くの消費者は柔軟な決済サービスを求め、後払い決済の利用が広まったとみられる。
オンライン販売のセール日とされる「サイバーマンデー」の売上高については、前年比5.8%増の113億ドルに達し、1日のオンライン売上高としては過去最高を記録した。同日に実施されたセールでは、玩具の割引率は平均34%だったほか、電化製品は25%と前年同期の割引率(8%)を上回るなど、大幅な値引きが高インフレに直面する多くの消費者を引き付けた(「テッククランチ」11月29日)。
NRFの会長兼最高経営責任者(CEO)のマシュー・シェイ氏は、インフレが家計を圧迫する中、小売り各社による値引きは消費者にとって重要な動機付けになっている、と述べている。また、小売業者などは、年末年始の見通しについて慎重な姿勢をみせており、ウォルマートは、顧客が裁量品への支出を控えるとともに、より安価な価格帯の商品の購入にシフトしていると分析している(CNBC11月26日)。
なお、NRFは11月3日に、年末商戦期間(11~12月)全体の小売売上高について、前年同期比6~8%増の9,426億~9,604億ドルになるとの見通しを発表している(関連ブラック ジャック オンライン)。
(樫葉さくら)
(米国)
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