2021年のCOP26議長、パリ協定「1.5度目標」への努力追求を強調
(英国、エジプト)
ロンドン発
2022年11月18日
エジプトでの国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)に参加中のアロック・シャルマCOP26(2021年)議長は11月14日、「2030年以前の野心に関する年次ハイレベル閣僚ラウンドテーブル」に参加し、演説を行った。
シャルマ氏は、COP26の「グラスゴー気候合意」で決意した「(パリ協定の)1.5度目標」に対する努力を追求する重要性をあらためて強調。既に1.1度の地球温暖化にあり、バングラデシュでの洪水被害など世界中でその影響が出ていることは周知の事実で、「1.5度目標」はレッドラインとした。グラスゴーとパリでの合意は目標の基盤であり、そのコミットメントを維持しなければならず、グラスゴー以前に逆戻りすることは許されないとした。
気候変動に伴う影響の緩和に対しては、以下の4点について速やかに実施することが必要とした。
- 2030年までの温室効果ガス排出目標(国が決定する貢献:NDC)の改定を設定していない国は「1.5度目標」に沿って改定すること
- 科学へのコミットメントを明らかにし、逆戻りしないようにすること
- 石炭の段階的な廃止と化石燃料補助金の段階的な廃止に向けて、さらなるステップを設定すること
- パリ協定第4回締約国会合(CMA4)で決定される「この決定的な 10 年間に緩和の野心、実施の規模を緊急に拡大するための作業計画(Mitigation Work Programme:MWP)」に合意すること
また、同氏は15日にNDCパートナーシップが主催するハイレベルイベントにも参加。NDCパートナーシップは200以上のメンバー(120カ国、80の機関)で構成され、ジャマイカのマシュー・サムダ国務相とシャルマ氏が共同議長を務める。NDCの達成に向けて、パリ協定と持続可能な開発目標(SDGs)の達成に資する野心的な気候変動対策を策定し、先進国と途上国間の調整やNDC実施のサポートを行っている。英国はこのパートナーシップに対して、2019年から2025年にかけて2,700万ポンド(約44億8,200万円、1ポンド=約166円)の資金を拠出している。
シャルマ氏は、国際エネルギー機関(IEA)と国連環境計画(UNEP)が今世紀末までに1.7度の気温上昇の可能性があるとしていることを踏まえ、あらためて「1.5度目標」達成の重要性を強調。そのためには財政支援と特定の国での能力開発が必要とした。NDCパートナーシップを通じてこれまでに14億ポンド超の技術支援が提供されているとしたほか、今後さらに資金調達の機会や透明性の拡大、グリーン関連雇用の創出や大規模な民間投資にもつながると述べた。
(菅野真)
(英国、エジプト)
ビジネス短信 12a4d8b504c45eb7