BMW、21 トランプ達
(ドイツ、米国、中国)
ミュンヘン発
2022年11月28日
ドイツ自動車大手のBMWは11月15日、米国と中国で、生産過程での二酸化炭素(CO2)の排出量が少ない鉄鋼を調達すると発表した。
米州では、米国のスチール・ダイナミクス(Steel Dynamics)およびビッグ・リバー・スチール(Big River Steel)と、再生可能エネルギーを使用して製造する鉄鋼の調達で合意した。BMWは調達した鉄鋼を、米国のスパータンバーグ工場(2021年生産台数:43万3,810台)、メキシコのサン・ルイス・ポトシ工場(6万9,149台)で、車体用に使用する。
中国では、2022年8月に中国の鉄鋼メーカーである河北鋼鉄集団(HBISグループ)とCO2の排出量が少ない鉄鋼の調達で合意している。具体的には、BMWは2023年から、瀋陽工場(2021年生産台数:70万777台)向けにHBISグループからCO2排出量が少ない鉄鋼の調達を開始する。HBISグループのCO2排出量を削減した鉄鋼を自社の商用生産に使用するのは、自動車メーカーではBMWが中国初だという。
BMWは、遅くとも2050年までにバリューチェーン全体で気候中立を達成することを目標に掲げ、2030年までに、車両1台当たりのスコープ3上流(注)でのCO2排出量を2019年比で少なくとも20%削減することを目指している。BMWによると、中型電気自動車のサプライチェーンにおけるCO2排出量全体に占める鉄鋼の割合は約20%で、これは蓄電池セル、アルミニウムに次いで高いという。BMWは2026年から、全世界で生産に使用する3分の1以上をCO2の排出量が少ない鉄鋼とする方針で、これにより、CO2を年間約90万トン削減できる。
BMWは既に、ドイツ鉄鋼メーカーのザルツギッター(Salzgitter)、スウェーデンのスタートアップ企業H2グリーンスチールなどと、生産過程でCO2をほとんど排出しない鉄鋼(グリーンスチール)を調達することで合意している(2022年2月14日記事参照)。メルセデス・ベンツ、欧州フォードなどの他の自動車メーカーや、シェフラーなどの自動車部品大手でもグリーンスチールの調達の動きが相次ぐ(2021年11月19日記事、2022年11月7日記事参照)。
(注)温室効果ガス(GHG)排出量の算定、報告の基準の1つ。そのスコープ1では、事業者自らによるGHGの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)を対象にする。スコープ2は、他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出。さらに、スコープ3では、スコープ1とスコープ2以外の間接排出(事業活動に関連する他社の排出)にまで踏み込む。「スコープ3上流」とは、スコープ3のうち原材料調達やその輸送に関する部分のこと。
(高塚一)
(ドイツ、米国、中国)
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