ドイツと米国、南アでのグリーンエネルギーに係る追加の資金提供決定
(南アフリカ共和国、ドイツ、米国)
ヨハネスブルク発
2022年10月24日
ドイツ政府は10月7日、南アフリカ共和国の公正なエネルギー移行と技能開発のために、今後2年間で3億5,500万ユーロの追加資金を提供すると発表した。ドイツ経済協力開発省アフリカ局長らの一行が南アを訪問し、5日からプレトリアで政府間交渉を行っていた。ドイツは既に2021年の国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)で、南アと「公正なエネルギー移行パートナーシップ」を締結し、約7億ユーロの資金拠出を決定していた(2021年11月16日記事参照)。今回の決定で、ドイツ政府は南アの脱炭素の取り組みにより関与を強める姿勢を見せたかたちだ。
前日の6日には、米国がクリーンテクノロジー基金(CTF)に対して9億5,000万ドルの融資契約に署名した。米政府は、今回の決定は南アの「公正なエネルギー移行パートナーシップ」全体の推進に役立つと述べている。CTFは途上国の低炭素技術の拡大を支援する多国間信託基金で、南アのほか、インドネシア、インド、フィリピン政府にも融資する予定だ。
なお、南アの大統領気候委員会(注)が7月に発表した報告書「公正な移行フレームワーク」では、南アのエネルギー転換には今後30年間で少なくとも2,500億ドルが必要としており、政府は国内外を問わず、官民双方から多額の資本が必要となるとしていた。今回の追加調達は南ア政府の政策を推進するための追い風となると見られる。
(注)大統領気候委員会は、シリル・ラマポーザ大統領が2020年12月に設置した。気候変動への対応について助言を行うことを目的としている。今後、炭素排出削減の目標達成に向け、独立してモニタリングとレビューを行う予定。
(堀内千浪)
(南アフリカ共和国、ドイツ、米国)
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