エネルギー価格に上限設定、家庭・企業を支援
(オランダ)
アムステルダム発
2022年10月07日
オランダ政府は10月4日、エネルギー価格の上限を2023年1月1日から全世帯と小口需要家に適用すると発表した。
エネルギー価格の高騰により、多くの家庭や企業が影響を受けていることから、政府は電気料金とガス料金の一時的な上限設定を提案した。オランダ中央統計局(CBS)の10月6日付発表によると、2022年9月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比14.5%と史上最高水準に達した。
上限価格は電気料金が1キロワット時(kWh)0.4ユーロ、ガス料金が1立方メートル1.45ユーロとなる。対象の年間消費量は電気2,900kWh、ガス1,200立方メートル。制限を超える分は通常の電気・ガス料金が適用されるため、エネルギー利用を節約するインセンティブも残る。政府は平均的な電気・ガス使用量の世帯であれば制限に収まり、年間約2,500ユーロの恩恵を受けると予測している。
2023年1月の上限価格導入までの支援策として、2022年11月と12月には、全世帯と小口需要家を対象に、一律月額190ユーロの固定割引を提供する。割引はエネルギー供給事業者を通して請求時に適用される。
さらに、ミッキー・アドリアーンセンス経済・気候政策担当相は同日、多くの企業がエネルギーコスト上昇の打撃を受けていることから、エネルギー消費量と売上高に応じた補助制度(TEK)を設けると発表した。エネルギー集約型の中小企業にはエネルギー価格上昇額にエネルギー消費量を乗じた割合に基づく補助を、小規模なオフィスや自営業者に対しては家庭と同様の上限価格を適用する予定だ。TEKについては企業支援に関するEUの国家補助規制に準拠し、欧州委員会によって承認される必要があり、2023年初めまで開始できない可能性が高い。政府は施行までの間の追加的な企業支援を検討しているとした。
(浅見早映)
(オランダ)
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