2050年に総人口の3分の1が60歳以上に
(チリ)
サンティアゴ発
2022年10月04日
チリ統計局(INE)は9月27日、「チリの高齢化(ENVEJECIMIENTO EN CHILE)」と題した研究結果を発表した。それによると、出生率の持続的な低下や、早期死亡率の低下、平均寿命の伸長により、2050年に総人口の32.1%が60歳以上となると予測している。チリの60歳以上の人口は1992年に総人口の9.5%、2022年は18.1%と、ここ数十年で大きく増加している。
2022年の60歳以上の人口359万8,554人のうち、60~79歳は約83.6%(300万8,269人)を占め、80歳以上は16.4%(59万285人)となっている。一方で、2050年の予測では、60歳以上の人口694万2,883人のうち、60~79歳は72.0%(499万8,302人)、80歳以上は28.0%(194万4,581人)としている。対照的に、15歳未満の人口の割合は1992年には総人口の29.7%を占めていたが、2022年には18.9%となり、2050年は14.2%まで減少すると予測している。
加えて、中南米各国の高齢化進行度合いの比較結果によると、最も高齢化が進んでいるのはウルグアイ、バルバドス、キューバの3カ国だ。これらの国々では総人口の約20%またはそれ以上の割合を60歳以上の人口が占めている。15歳から49歳までの女性の年齢別出生率を合計した 合計特殊出生率は女性1人当たり約1.73人で、人口置換水準(人口が増加も減少もしない均衡した状態となる合計特殊出生率)を下回っている。チリの高齢化は、これら3カ国に次いで進行しており、同等の水準に属する国としては、アルゼンチンやトリニダード・トバゴが挙げられる。
INEは、高齢化の進行は国の人口構成と構造に深刻な変化をもたらすと警告しており、深刻化の度合いに応じて社会の持続可能性、社会保障、高齢者の看護や介護のメカニズムを強化する必要があると指摘している。
(岡戸美澪)
(チリ)
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