米テラパワーとグローバル・ニュークリア・フュエル、次世代原子炉用核燃料の製造施設建設へ

(米国)

ヒューストン発

2022年10月25日

次世代原子炉開発を手掛ける米国テラパワーは10月21日、核燃料開発を手掛ける米国グローバル・ニュークリア・フュエル・アメリカズ(GNF-A、注1)と、ノースカロライナ州ウィルミントンで次世代原子炉用の核燃料製造施設の建設で合意したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。施設は2023年に建設開始の予定だ。

テラパワーの開発する次世代原子炉は、ナトリウム冷却型高速原子炉技術と溶融塩エネルギー貯蔵システムを組み合わせていることが特徴で、従来の原子炉と比べて安全で高効率な原子炉だとされている。今回、建設予定の核燃料製造施設は、高純度低濃縮ウラン(High-Assay Low-Enriched Uranium、以下HALEU、注2)を利用することになるという。

米国エネルギー省(DOE)は2020年に、先進原子炉を2020年代末までに開発、建設、実証する先進原子炉実証プログラム(ARDP)にテラパワーを選定しており、本施設の建設にあたっては、ARDPの一環として、DOEとテラパワーとが共同で費用を拠出する予定だ。なお、テラパワーと同じく、ARDPに選定されたXエナジーは1013日に核燃料製造施設の建設開始を発表している(2022年10月19日記事参照)。

テラパワーのシニアバイスプレジデント兼ナトリウムプロジェクトディレクターのタラ・ネイダー氏は「国内の原子力サプライチェーンを再活性化することは、次世代原子炉を建設する上で重要なステップだ」「われわれは、GNF-Aのような業界の専門家と一緒にこの取り組みに参画できることをうれしく思っている」と述べた。

テラパワーは、次世代原子炉の取り組みを積極的に進めており、20216月に、ワイオミング州に次世代原子炉の実証プラント建設を発表している(2021年6月9日記事参照)。8月には、次世代原子炉向けウラン燃料の国内サプライチェーン構築を提唱(2022年8月15日記事参照)し、次世代原子炉・放射線がん治療事業に向け75,000万ドルの資金調達(2022年8月17日記事参照)を発表した。

(注1GNF-Aは米国ゼネラル・エレクトリック(GE)や日立による合弁企業。

(注2)高純度低濃縮ウラン(HALEU)は、U235(ウラン同位体の1つで広く原子力発電に利用される)の濃度が520%のものを指す。

(沖本憲司)

(米国)

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