工業用ミネラル大手イメリス、フランスでリチウム採掘事業に着手

(フランス、日本、韓国)

パリ発

2022年10月26日

フランスの工業用ミネラル製造大手のイメリスは10月24日、同国内でのリチウム採掘プロジェクトを公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。オーベルニュ・ローヌ・アルプ地域圏アリエ県に保有するボーボワール(Beauvoir)鉱山に10億ユーロを投資し、2028年から年間生産量3万4,000トンを目標に水酸化リチウムの採掘を開始する。同社によると、これは電気自動車(EV)70万台のバッテリー生産を可能にする量で、同鉱山のリチウム埋蔵量は少なくとも25年間の生産に対応できるという。同社は電動化を進める欧州でリチウムの主要サプライヤーを目指す。

ボーボワール鉱山では環境に配慮した採掘技術を採用し、低炭素電力を利用することで、採掘量1トン(炭酸リチウム換算tLCE)当たりの二酸化炭素(CO2)排出量を既存鉱山の15~18トンから8トン未満に削減しつつ、リチウム1キログラム当たりの生産コストを7~9ユーロに抑え、欧州市場で高い競争力を確保する。直接・間接雇用を含め1,000人の雇用創出を見込む。

ブリュノ・ル・メール経済・財務・産業デジタル主権相は同プロジェクトについて、リチウムの外国依存を減らし、フランスが掲げる「2030年にEV国内生産200万台」の目標()達成に貢献するものと歓迎の意を表明した。ローラン・レスキュール産業担当相は、国内でのEV向けバッテリーのサプライチェーン構築に向けて、同プロジェクトを未来投資計画「フランス2030」の中で支援する方針を明らかにした。

これとは別に、バッテリー用素材の国内調達強化について、レスキュール産業担当相は10月20日、リチウムイオン電池用セパレータ大手ダブル・スコープ(日本企業の韓国子会社)とフランスのアルミナ製造アルテオがフランスにリチウムイオン電池セパレータの大型工場を設置することで合意外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしたと発表した。投資額は6億ユーロで、新工場ではアルテオが南東部ガルダン工場で製造する特殊アルミナを使ってセパレータを生産。報道によると、自動車ルノーや欧州ステランティスが北部に建設中のバッテリー工場に納入する。2026年に稼働し、1,000人以上を雇用する予定だ。

(山崎あき)

(フランス、日本、韓国)

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