国際航空で2050年にCO2排出実質ゼロへ、ICAOが採択

(世界)

国際経済課

2022年10月12日

国際民間航空機関(ICAO)は10月7日外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、国際航空分野で2050年までに二酸化炭素(CO2)の排出を実質ゼロにする長期目標を採択した(注1)。「2020年以降、国際航空での温室効果ガス(GHG)の総量を増加させない」との従来の目標から、排出削減へと大きく方針を転換したことになる。

今回の新たな目標達成には、革新的な航空技術の採用や、合理的な航空運営、持続可能な航空燃料(SAF)の開発・増産などの加速化が必要としている。

ICAOでは、2021年から(注2)市場メカニズムを活用して排出削減を行う「国際民間航空のためのカーボンオフセットおよび削減スキーム(CORSIA)」(注3)を導入している。今回の総会では、2024年からのCORSIAの排出枠を2019年排出量の85%をベースラインとすることなどについても合意した。

航空分野のうち国内線の排出分については、パリ協定の枠組みに沿って各国が取り組む対象だが、国際線については国連の専門組織のICAOが目標設定などを行う。国際エネルギー機関(IEA)のNZEシナリオ(注4)によると、国内航空分野の直接排出量(CO2換算)は2021年(3億2,793万トン)から2030年(3億4,144万トン)までほぼ横ばいの見通しの一方、国際航空分野は3億8,446万トン(2021年)から5億4,145万トン(2030年)まで大きく増加する見込みだ。

国際航空分野の排出量増加が予測される中、ICAOが採択した新たな目標により、国際航空分野の脱炭素化の取り組み加速化が期待される。

(注1)9月27日~10月7日に開催された第41回総会で採択。ICAOの総会は3年に1度開催。

(注2)2021~2023年は実証フェーズ。

(注3)航空会社は割り当てられた排出枠を超える排出分について、市場からクレジットを購入することで、オフセット(相殺)しなければならない。

(注4)2050年のCO2排出ネットゼロの達成を想定したシナリオ(2021年10月14日記事参照)。

(古川祐)

(世界)

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