フランス政府、エネルギー節減計画の具体策を発表
(フランス)
パリ発
2022年10月11日
フランス政府は10月6日、2024年までにエネルギー消費量の10%削減(2019年比)を目標にしたエネルギー節減計画()の具体策を発表した(プレスリリース)。エリザベット・ボルヌ首相は同日のスピーチで、全ての国民、全ての企業に努力を呼びかけるとともに、公共部門が率先して省エネに取り組むことを約束した。
具体的には、オフィスの暖房を19度(夜間16度)に設定する、暖房の利用開始日と終了日を通常より15日遅らせる(注)、オフィスでの給湯をシャワーなど必要最低限の利用に制限する、通勤手段として公共交通機関やライドシェアの利用を奨励し、出張の際も列車での移動時間が4時間以内であれば、航空機より列車の利用を優先する。
公共施設では、電力供給が逼迫する日の暖房を19度から18度に下げる、公営のスポーツ施設の室度を2度、プールの水温を1度下げる、在宅勤務手当の15%増額を通じて公務員の在宅勤務を奨励する、公用車の高速道路における最高速度を時速110キロに制限する、街頭など公共照明をLED化し点灯時間や照度などを制限する。
民間企業に対しては、退室時のオフィスの照明や広告などの屋外照明の消灯、(サーモスタットなどを利用した)暖房・冷房・換気の制御、不要な出張の廃止などの努力を促す。一般世帯向けには、省エネ改築補助金制度「マ・プリム・レノブ」を通じ、一戸建て住宅でガス暖房をヒートポンプに買い替えた世帯に対し最大9,000ユーロ(ペレットボイラーへの買い替えには1万5,000ユーロ)の補助金を支給する。集合住宅については、アパート1戸当たり250ユーロの負担で自治体が提供する熱供給ネットワークに接続できるよう助成する、などが計画の柱となる。
いずれの措置も、省エネへの努力を推奨するもので強制力を持たないことから、効果を疑問視する声が出ている。気候変動問題に取り組む国内27の非政府組織から成る「レゾー・アクション・クリマ」は10月7日、政府のエネルギー節減計画は今冬のエネルギー危機を乗り切るための緊急措置ばかりで長期的な目標達成につながるものではないとし、大企業にエネルギー節減量の報告を義務付けるべきだ、などと批判した。
(注)セントラルヒーティングの設備がある建物の多くでは、暖房期間を10月15日~4月15日に設定している。
(山崎あき)
(フランス)
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