IMFからの新規融資計画に事務レベルで合意
(チュニジア)
パリ発
2022年10月26日
チュニジア政府とIMFは10月15日、拡大信用供与措置(EFF)(注)に基づき、48カ月間で14億7,200万SDR(約19億ドル相当)の融資をチュニジアが受けることについて、事務レベルで合意に至った。10月10日から米国の首都ワシントンで開かれていた両者間協議は、7月4日に再開した新規融資プログラムに関する公式交渉の一環として行われた。
実際の融資に至るには、12月に予定されているIMF理事会での最終承認が必要となる。チュニジア政府は融資条件を満たして最終承認を得るため、国営企業の経営透明化・ガバナンス強化・民営化などの抜本的改革に加え、インフォーマルセクターを課税ベースに取り込む体制の構築、段階的な補助金廃止などの対応を迫られる。チュニジア側は、当初求めていた20億ドル程度の融資額には満たないものの、IMFから融資の承認を得ることで、他の国際金融機関や外国からの資金調達につなげ、経済活動の再活性化を目指す考えだ。
労組は補助金廃止による物価上昇を懸念
2021年度の国家予算案によると、電気・ガス、基礎食品、公共交通機関に対する国家補助金支出は34億1,000万チュニジア・ディナール(約1,569億円、TD、1TD=約46円)に上り、国家予算総支出の8.3%、GDPの2.8%に相当する。9月のインフレ率は前年同月比で9.1%に達し、深刻な燃料不足で経済状況が悪化する中、チュニジア最大の労働組合であるチュニジア労働総連(UGTT)は、補助金の廃止に全面的に反対している。12月17日に控える国民議会選挙を前に政治的緊張が高まり、10月15日には物価高騰への反発とサイード大統領の退陣を求める抗議デモが、チュニスにおいて数千人規模で実施された。
(注)EFFは、Extended Fund Facilityの略。抜本的な経済改革を必要とする、大きなゆがみに起因する中・長期的な国際収支上の問題に取り組む国を支援する措置。
(渡辺智子)
(チュニジア)
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