財政計画の発表を延期、フラッキング解禁は撤回へ

(英国)

ロンドン発

2022年10月27日

英国のジェレミー・ハント財務相は10月26日、中期財政計画について、発表時期を10月31日から11月17日に延期し、秋季経済計画として発表するとした。予算責任局(OBR)による経済・財政見通しも同時に発表される。ハント氏は、財政計画は可能な限り最も正確な経済・財政見通しに基づくことが重要として、リシ・スナク首相とともに延期が妥当と判断したとしている。この発表に伴う市場への影響は限定的だ。

フラッキングは再び一時停止の見込み

スナク首相は同日、首相就任後初めて議会下院で討論外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。野党・労働党のキア・スターマー党首は、セキュリティー違反でトラス政権下の19日に内務相を辞任したスエラ・ブレイバマン氏を再び同じポストでスナク首相が復帰させた(関連ブラック ジャック ルール)ことに関し、保守党首選での支持と引き換えに「汚い取引」をしたとして批判。スコットランド国民党(SNP)のイアン・ブラックフォード議員も同様に批判した。

ブラックフォード議員の、年金支給額の伸び率をインフレ率に合わせることを保証するかとの質問に対しては、スナク首相は最も弱い人々を保護するために行動することを約束すると回答し、明言を避けた。英国では年金支給額の伸び率をインフレ率、賃金上昇率、2.5%の3つのうち最も高いものとする「トリプルロック」制度があり、エリザベス・トラス前首相は同制度の維持にコミットするとしていた。

また、トラス前首相が解禁するとしていたシェールガスのフラッキング(注、)について、2019年の総選挙での保守党のマニフェストどおり、一時停止を維持するかと問われると、スナク首相はマニフェストに沿って行動すると回答。その後、官邸もフラッキングの一時停止を維持すると確認したと報じられている。

(注)化学物質を含む高圧水を使用した採掘方法。環境汚染や地盤への影響を懸念する見方がある。

(山田恭之)

(英国)

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