フランス電力大手エンジー、ペルー企業とグリーン水素活用の覚書締結

(ペルー、フランス)

リマ発

2022年10月14日

フランスの電力大手エンジーのペルー法人エンジー・エネルヒア・ペルー〔ENGIE ENERGÍA PERÚ (EEP)〕は10月3日、インドゥストリアス・カチマージョ〔INDUSTRIAS CACHIMAYO(IC)、注1〕と、グリーン水素活用に関する覚書を締結した。これにより、EEPはICが硝酸アンモニウム製造に使用する電力を今後100%グリーン水素に切り替えるための技術指導を実施し、さらにI-REC認証(注2)を取得することを目指す。実現すれば、ICの硝酸アンモニウム製造工場はペルー初のI-RECによるグリーン水素認証を有する工場となる。

再生可能エネルギーについては、エネルギー鉱山省(MINEM)のホセ・マルティン・ダビラ・ペレス副大臣(エネルギー担当)が9月の鉱業コンベンション「PERUMIN 35」で、ペルーでは現在、総投資額51億ドルに上る31件の発電所建設計画(総発電能力3,163.5メガワット)を予定していると説明している。そのうち21件が水力発電で、9件が風力と太陽光発電という。

ダビラ副大臣は、非営利団体ペルー水素協会(H2 PERÚ、注3)が2022年2~3月に議会と政権に提案した「グリーン水素振興法案」と「2050年に向けてのペルーグリーン水素ロードマップ」について、 MINEM と H2 PERÚ が協議を始めていることを明らかにしている。一方、H2 PERÚのダニエル・カマック会長は、同法案とロードマップが既に議会のエネルギー鉱山委員会で審議され、 H2 PERÚ は環境省(MINAM)が策定する「国が決定する貢献(NDC)」でもグリーン水素を包含するよう提言していると述べている。

(注1)チリの大手火薬グループのエナエックス〔GRUPO ENAEX(GE)〕の傘下企業で、硝酸アンモニウムえを製造している。ICは創業当初、硝酸アンモニウムを肥料用に製造していた。その後、鉱業向けに硝酸アンモニウムを石油と混合して作るANFO(硝安油剤爆薬)の製造にも参入した。

(注2)「International Renewable Energy Certification(I-REC)」は再生可能エネルギーで発電した電気を証明する認証制度。非営利団体I-REC STANDARDが管理している。

(注3)2021年にグリーン水素の振興を目的として設立された非営利団体。メンバー企業にはチリのエナエックスや日本の三菱商事、三井物産など30社が参加しており、戦略パートナーとしてエンジーのコンサルティング会社エンジー・インパクト(ENGIE IMPACT)も含まれている。

(設楽隆裕)

(ペルー、フランス)

ビジネス短信 58c008dc1f6b083d