テロ発生の可能性について政府が言及、日系企業に大きな混乱はなし

(南アフリカ共和国、米国)

ヨハネスブルク発

2022年10月28日

南アフリカ共和国のシリル・ラマポーザ大統領は10月27日、自身が参加した国賓歓迎会の冒頭あいさつで、在南ア米国大使館が発信したテロのアラートについて言及した。現在、南ア政府の諜報機関が24時間体制でテロの兆候がないかを監視しているが、テロの危険性を示す確たる証拠がないと述べている。また、米国大使館に働きかけの上、今回の警告のオンライン カジノ ブラック ジャック源の把握などに努めているという。

事の発端は、在南ア米国大使館によるアラートだった。同大使館は10月26日、ホームページ上で、ヨハネスブルクのサントン地区で29日にテロの危険性があることから、同大使館員に週末は大勢の人が集まる場所を訪れることを控えるよう促した。アラートを受け同日、大統領府は「南ア政府はテロの脅威を監視しており、差し迫った脅威が発見された場合、真っ先に国民に知らせる」とコメントしていた。

南アは日本企業拠点数が268社とアフリカの中で最も多く、在住日本人は1,112人にのぼる(ともに2021年10月時点)。今回、アラートが発せられたサントン地区はヨハネスブルクのビジネス中心地で、南ア企業や外資系企業、そして多くの日本企業も事務所を構える。アラートを受け、在南ア日本大使館は同日、日本人在留者に注意を呼びかけていた。こうした中、日系企業各社は駐在員や従業員に対して、週末は大勢の人が集まる場所を避けるなどの外出自粛を求めているところが多い。当地10月27日現在、大きな混乱は起きていない。

アラートから一夜明け、メディアでは、10月29日に開催される大規模イベントが狙われている可能性も示唆されているが、現時点でテロ組織による犯行声明やイベント運営会社への脅迫などはないと報道されている。ヨハネスブルク市長は、警戒を怠らない上でパニックを起こさず、不審な動きがあれば報告するよう市民に呼びかけている。

最大野党の民主同盟(DA)のスポークスパーソンは「今回のような発表は前例がなく、テロ攻撃に関する米国大使館の警告を真剣に受け止めるべきだ」とコメントしている。一方で、第2野党で極左政党・経済的解放の闘士(EFF)は「もし脅威があるならば、米国大使館は南ア政府と協力し、証拠の提供などを行うべきだ」という趣旨の文書を発表した。

(堀内千浪)

(南アフリカ共和国、米国)

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