福島で再エネ産業フェア開催、欧州の支援機関や企業が出展
(福島、ドイツ、スペイン、デンマーク)
欧州ロシアCIS課
2022年10月24日
「第11回ふくしま再生可能エネルギー産業フェア」(REIFふくしま2022)×ふくしまゼロカーボンDAY!2022が10月13~15日、福島県郡山市の「ビッグパレットふくしま」で開催された。このイベントは福島県と福島県産業振興センター、地球にやさしい“ふくしま”県民会議が共催する地球温暖化対策と再エネをテーマとした見本市。環境やエネルギー関連の最新技術や製品、取り組みに関する展示、商談と交流、講演やセミナーなどが行われた。
「REIFふくしま」は、新型コロナウイルス感染拡大によって2021年度はオンラインで開催し、2022年度は2年ぶりのリアル開催となった。出展者数は192企業・団体、3日間の合計来場者数は6,512人だった。
福島県は、2011年の東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故をきっかけに、再エネ導入にかじを切り、再エネ関連産業の育成と集積を積極的に推進している。その一環として、再エネ先進地域の欧州との経済交流を進め、自治体間ではドイツで最大の人口とGDPを誇り、産業界への水素活用などに意欲的に取り組むノルトライン・ウェストファーレン(NRW)州、風力発電関連産業の一大集積地のハンブルク州とスペイン・バスク州、電気分解によるグリーン水素生成などの再エネ分野で意欲的な政府戦略を掲げるデンマーク大使館と連携覚書(MoU)を締結している。また、福島県を設立母体とする再エネ推進の中核機関「エネルギー・エージェンシーふくしま」は上記4地域の再エネ支援機関とそれぞれMoUなどを締結し、福島県と欧州の企業間のマッチングなどを進めている。
「REIFふくしま2022」では、福島県がこの4地域の支援機関などのブースを設置し、バイオマスエネルギーや風力、水素関連の技術開発を行うNRW州とバスク州の企業計8社を招聘(しょうへい)した。
NRW州からの招聘企業で、木質バイオマスを原料にしたガス化炉の技術を有するAHTシンガステクノロジーは3回目の出展だ。気仙沼エネルギー開発プロジェクトで約1,800世帯分の年間使用電力に相当する発電規模のバイオマスプラントを導入した実績もある。同社のゲロ・ファーゲス最高経営責任者(CEO)は、今後もビジネスの実現可能性の高い日本の市場にフォーカスしていきたいと意気込みを語った。
欧州以外ではこれまで、北米やアジアの企業が出展したこともあったという。
福島県商工労働部次世代産業課の鈴木章文課長は福島県と欧州の連携の意義について、「県内の企業が知らないことやできないことを欧州企業は持っている。欧州企業と交わることで県内企業の技術力が向上することを期待する」と述べた。鈴木課長によると、県が今後特に力を入れていきたいのは水素と風力の2分野だ。「REIFふくしま」を通じて、同分野で活躍する欧州企業と県内企業をマッチングさせるほか、ニーズがあれば、県内企業の欧州進出にもつなげたいと話している。
(森友梨)
(福島、ドイツ、スペイン、デンマーク)
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