トラス英首相、欧州政治共同体の初会合に参加

(英国、チェコ、フランス、ノルウェー、ロシア、ウクライナ)

ロンドン発

2022年10月13日

英国のエリザベス・トラス首相は10月6日、チェコのプラハで開催された欧州政治共同体の初会合に参加した。トラス首相はこの会合に先立って英「タイムズ」紙(10月6日付)に寄稿外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、英国にとって安全保障とエネルギー、移民の3点が優先事項とし、会合で議論を行うとしていた。

会合後の6日付政府発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、トラス首相はロシアに対する欧州諸国の団結が強力に示された点や、エネルギーと移民に関して新たなコミットメントを引き出せた点を歓迎。今後も各国と協力し、独裁的政権へのエネルギー依存の終了や、家計向けのインフレ対策、人身取引業者への対応などを継続するとした。

今後の会合はモルドバ、スペインのほか、英国での開催も予定されている。

トラス首相は同日、各国首脳とも会談。チェコのペトル・フィアラ首相との会談外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、原子力や再生可能エネルギーなどの分野の協力を含めた長期のエネルギー供給の確保に協力して取り組むと言及。さらに、両首相は北海エネルギー協力外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(NSEC、注)への英国の復帰の可能性を歓迎した。

フランスのエマニュエル・マクロン大統領との会談外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、フランスで2023年に両国首脳会談を開催することで合意した。クリーンエネルギーへの移行とロシアへのエネルギー依存からの脱却は共通課題として、両者はエネルギー分野の2国間協力の進展について議論、再エネや原子力が引き続き課題解決の手段だと再確認した。特に英国サイズウェルの新たな原子力発電所()に両国が全面的に支援することを確認、数カ月以内に関係機関の取り決めを最終化することを期待するとした。民生用原子力協力についても、イノベーション、インフラ開発、労働力の技能などの分野で首脳会談開催までの進展・拡大を約束した。両者は不法移民に関しても協力を深化させ、人身取引業者への対応を行うことで合意。両国の内務相の間で、今秋にも対応策をまとめるとした。

ノルウェーのヨナス・ガール・ストーレ首相とは、両国間のエネルギーパートナーシップについて議論。特に英ネプチューン・エナジーによるノルウェーのドゥーバでのガス増産を好例だとした。

(注)北海地域での風力発電所や国際連系線の建設を支援するグループ。メンバーはベルギー、デンマーク、フランス、ドイツ、アイルランド、ルクセンブルク、オランダ、ノルウェー、スウェーデン、欧州委員会。英国は2020年1月31日に離脱。

(山田恭之)

(英国、チェコ、フランス、ノルウェー、ロシア、ウクライナ)

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