米スタートアップ大型展示会「ディスラプト」、ジャパンパビリオンに14社が出展
(米国、日本)
サンフランシスコ発
2022年10月26日
米国テックメディア「テック・クランチ」は10月18~20日、年次スタートアップ大型イベント「ディスラプト」を、サンフランシスコ市で2019年以来3年ぶりに対面開催した。
主催者によると、同3日間で約1万人が来場し、200社以上のスタートアップが参加した。2022年の来場者数は前回の対面開催である2019年とほぼ変わらないが、今回のスピーカーセッションでは例年より人出の少ない枠が目立った。他方、ギャンブル ゲーム 無料が支援するジャパンパビリオンが設置されたスタートアップの展示場は、来場者でにぎわった。
同パビリオンでは、14社の日系スタートアップが出展し、18日と20日にはそれぞれ7社が「ショーケースステージ」でピッチを行い、来場者に自社技術をアピールした。同パビリオンで、来場者が途切れることなく訪れていたブースは、チャットコマース(注)のジールスだ。商談目的のD2C企業や投資家だけでなく、同社の採用枠を確認したい大手テックの現役エンジニアなど、さまざまな来場者が、清水正大最高経営責任者(CEO)に話かけていた。同社のサービスは、ソーシャルメディア上で商品に興味のあるユーザーに対し、AI(人工知能)チャットボットを用いたコミュニケーションを通じて販売促進を行うもの。同社は、2022年5月にテック大手セールスフォースなどから3,880万ドルを調達しており、9月にはサンフランシスコ・ベイエリアに米国の拠点を設立した。日本国内外の大手企業を顧客に持ち、日本ではすでに業界のリーディングカンパニーだが、ソーシャルメディア上のチャットコマースがまだ一般的でない米国でさらなる事業拡大を目指す。
テーマに沿って、大手テック企業の幹部や著名投資家によるセッションを行う会場では、テニスプレーヤーからの引退を表明したセリーナ・ウィリアムズ氏も登壇し、自身が設立しマネージングパートナーを務めるベンチャーキャピタル(VC)「セリーナ・ベンチャーズ」について話した。同VCは、アーリーステージのスタートアップを中心に投資を行う。司会者が「(投資先を選ぶにあたり)スタートアップの創設者に求める素質は何か」と尋ねたのに対し、ウィリアムズ氏は「これまでの経験の中で、その創設者が成功しなかったことは何かを見るようにしている。失敗は学びの大きなチャンス。失敗は失敗と呼ばず、学ぶ機会があったと言うべき」と述べていた。
(注)Eコマースにおいて、チャットボットを用いて商品の紹介や問い合わせに対応するサービス。
(田中三保子)
(米国、日本)
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