ブルキナファソでクーデター発生、2022年に入り2度目

(ブルキナファソ、フランス、西アフリカ)

アビジャン発

2022年10月03日

西アフリカのブルキナファソで930日未明、国軍兵士の一団がクーデターを起こし、国営テレビを通じて、全権を掌握したと宣言した。軍事クーデターはサンダオゴ・ダミバ陸軍中佐率いる暫定政府のテロ対策と治安回復の失敗に抗議してのもの。ダミバ中佐は102日に辞任を受け入れ、クーデターを主導したイブライム・トラオレ陸軍大尉が新たな首班となるもようだ。

今回のクーデターは2022年に入ってから2回目となる。ブルキナファソでは近年、イスラム過激派組織によるテロや襲撃が繰り返されており、国内では政府のテロ対策に度々不満の声が上がっていた。今回追放されたダミバ中佐も1月に「政府が国の安全保障を担保できていない」として、当時のカボレ大統領に対しクーデターを起こして実権を握った(2022年1月26日記事参照)。

今回クーデターを起こした一団は「ダミバ政権は治安悪化を招き、多くの地域がテロリストの支配下に入った」として、暫定政府のテロ対策を非難。軍が樹立した「防衛と復興のための愛国運動(MPSR)」からダミバ中佐を罷免すると発表し、暫定政府の解散と現行憲法の停止のほか、国境閉鎖と夜間外出禁止を宣言した。実権を掌握したトラオレ大尉は「適切な期間内に憲法秩序の回復と新たな暫定大統領の任命に向け、国内全ての勢力を交えた協議を行う」としている。

BBCやフランス国営放送RFIによると、930日早朝から首都ワガドゥグの軍基地で激しい銃声が上がり、市内の要所に兵士が展開するなど、政情が緊迫化した。101日には反乱兵士らが「ダミバ中佐がフランス軍基地に避難し、反撃を計画している」と非難したことから、デモ隊が暴徒化し、フランス大使館に放火するなど混乱が広がった。こうした事態を受け、フランス外務省は「今回の事態にフランスは関与していない」との声明を発表した。

西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)も緊急声明を発表。憲法秩序の回復に向けてプロセスが前進している中での今回のクーデターを「不適切」だと非難した。その上で、202471日までに憲法の合法性を取り戻すという、既に採択された民政移管スケジュールを順守するよう要求している。

なお、ブルキナファソ以外にも、サヘル地域では、マリやギニアなどで軍事クーデターが相次いでいる。

(渡辺久美子)

(ブルキナファソ、フランス、西アフリカ)

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