マクロン大統領、ドイツとのエネルギー相互融通協力を表明
(フランス、ドイツ)
パリ発
2022年09月07日
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は9月5日の記者会見で、ドイツとの間で電力・ガスの相互融通協力の意向を表明するとともに、国民に対してエネルギー節減の徹底を呼びかけた。また、欧州委員会が検討を進めている、EU加盟国によるガスの共同購入などの対策を支持する考えを表明した。
マクロン大統領は、ドイツのオラフ・ショルツ首相とのテレビ会談後に行われた記者会見において、ドイツはフランスのガスを必要とし、フランスは他の欧州諸国、とりわけドイツで発電された電力を必要としていると述べた。ドイツからの電力融通には、フランスでメンテナンス中の原子力発電所が予想以上に多く、発電量が予想より少なくなっていることが影響していると述べた。
同時に国民に対しては、エネルギーを消費しないことが最良とし、企業だけでなく各人が省エネに取り組むこと、10%の省エネ目標を達成するために今冬は室温を19度程度に保つよう要請した。
また、マクロン大統領は、ロシアによるウクライナ侵攻によってエネルギー価格が高騰した状況に、EU諸国がロシア産の石炭、石油、ガスへの依存を可能な限り低減させ、とりわけガスの供給源の多様化を進めた結果、数カ月前は50%だったEUのロシア産ガスへの依存度は9%に低下したと述べた。
エネルギー価格についてマクロン大統領は、2021年秋から電力およびガス価格の高騰に一連の対策を講じてきた結果、フランスはガス・電気料金の約50~70%の値上げを回避することができ、インフレ率が欧州で最低水準の国の1つであることに触れた。一方、今後の国内対応にはEUの措置が必要だとして、欧州委が検討している、欧州レベルでのエネルギー価格高騰への対応策について、欧州によるガスの共同購入に賛成で、ロシアからのパイプラインで供給されるガスの購入価格に上限を設定する場合、その措置を支持するとした。
さらに、中期的な対応として、フランスと欧州で代替的なエネルギー源の開発を確実に進めることの重要性について触れ、フランス国内で再生可能エネルギーと原子力のプロジェクトを加速化するための法案策定を政府に求めたと述べた。また、欧州レベルでは水素エネルギーの輸送実証や、電力市場改革を進める必要があることなどに言及した。
(坂本紀代美)
(フランス、ドイツ)
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