カナダ・オンタリオ州、新型コロナ無症状陽性者の隔離義務廃止
(カナダ)
トロント発
2022年09月02日
カナダ・オンタリオ州保健局の最高医療責任者であるキエラン・ムーア博士は8月31日、州の公衆衛生ガイダンスを更新し、新型コロナウイルス陽性者と接触した場合の5日間の隔離義務を撤廃したと発表した。またムーア博士は、その後の記者会見にて、陽性者であっても無症状であれば5日間の隔離は義務ではないと答えた。
更新された公衆衛生ガイダンスの要旨は以下のとおり。
- 陽性者と接触した場合には、引き続き症状の自己監視を行うこと。接触者の隔離は不要になるものの、公共の場では10日間マスクを着用すること。
- 発熱、咳(せき)、鼻水などの新型コロナウイルスの症状がある場合は、熱が下がり、症状が改善するまで学校や職場、社交行事から離れ、迅速抗原検査、または対象となる場合はPCR検査を受けること。その後10日間はマスクを着用し、リスクの高い人や環境への不要不急の訪問は避けること。
なお、公衆衛生ガイダンス更新版には、「症状改善後、少なくとも24時間(胃腸症状の場合は48時間)は自己隔離して自宅で過ごすことを推奨する。ハイリスク患者などの特定層へはより長い自己隔離期間を推奨する」と記されている。今回の公衆衛生ガイダンスの更新についてムーア博士は、秋に到来するインフルエンザなどの呼吸器疾患が増える季節に備え、新型コロナウイルス感染を管理していくためと説明した。また、「将来的なウイルスの波で医療体制がリスクにさらされる場合、マスクの着用義務や隔離規則が復活する可能性がある」としながらも、「小売店の収容人数制限や営業停止を戻す必要性は感じない」とコメントした(「グローブ・アンド・メール」紙8月31日)。
またムーア博士は同日、9月1日から同州で5~11歳への新型コロナウイルスに対するワクチンの3回目接種が可能になると発表した。カナダでは、8月19日にカナダ保健省が同年齢層への3回目接種を承認していた(2022年8月24日記事参照)。
なお、連邦政府は、カナダ入国時の無作為検査で陽性が判明した場合、10日間の自己隔離を義務付けている(2022年7月19日記事参照)。連邦政府は「カナダ入国後の検疫・隔離に関する連邦政府の規則は、州・準州の規則とは異なる。その場合、より厳しい規則に従わなければならない」として、到着時検査で陽性となり自己隔離を行う必要がある場合は、滞在州の隔離要件が10日間よりも短い場合でも、10日間の隔離を行う必要があると説明している。
(飯田洋子)
(カナダ)
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