ビングループの上半期決算、主力の不動産事業が不振
(ベトナム)
ハノイ発
2022年09月16日
ベトナムの大手複合企業ビングループは8月29日、2022年上半期決算にかかる財務諸表を公開した。連結売上高は31兆6,130億ドン(約1,897億円、1ドン=約0.006円)で、前年同期比48%減だった。
売上高減少の主因は、主力の不動産事業が前年同期比75%減と低迷したことだ。ベトナムの不動産市場は住宅供給が停滞するなど減速傾向にあり、ビングループの事業にも影響を与えたといえる。そのほか、セクター別では、自動車を含む製造事業が同32%減に落ち込んだ一方、ホテル・エンターテインメント事業は同80%増、ヘルスケア事業は同44%増、教育事業は同14%増だった。
2022年上半期の税引き後純利益は1兆650億ドンだった。子会社売却をはじめとするファイナンス収入などにより、全体では黒字となっている。一方、営業損益は1兆4,900億ドンの赤字となった。総資本は528兆9,580億ドン、自己資本比率は25%だった。
ビングループは多角経営を進める中、2022年は本業の不動産事業や、先行投資で電気自動車(EV)シフトを進める自動車事業(2022年3月25日付地域・分析レポート参照)で苦戦する状況が見受けられる。ビングループによると、改善の見通しもある。不動産事業での未請求の住宅購入予約は129兆3,000億ドンに達しており、新規大型プロジェクトのビンホームズ・オーシャンパーク2(注)の物件引き渡しも下半期に行われる予定だという。
自動車部門は7月15日にガソリン車の新規販売停止に踏み切り、今後はEVに完全移行する方針を示している。不動産事業と提携し、ビングループの都市プロジェクト敷地内でEVの試乗や展示を行い、住宅販売との相乗効果を見込む。さらに、米国の新工場設立(2022年4月4日記事参照)に先駆けて、カリフォルニア州にショールーム6店舗を開設した。欧州でも50店舗の設置計画を発表するなど、欧米市場での展開も加速させている。
(注)ビングループがハノイ市郊外に開発する都市プロジェクト。460ヘクタールの敷地内に住宅、公園、学校、病院などを設ける。
(萩原遼太朗)
(ベトナム)
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