英政府、企業などへ向けエネルギー価格高騰対策を発表

(英国)

ロンドン発

2022年09月22日

英国政府は9月21日、エネルギー価格高騰に対する企業などへ向けた支援策として「光熱費救済スキーム(Energy Bill Relief Scheme)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を10月1日から実施することを発表した。政府は9月8日に家庭向けの対策を発表、その際に企業向けにも同等の支援を提供する旨を発表し、詳細については近日中に発表するとしていた()。

本措置は企業のほか、慈善団体などの非営利組織、学校や病院などの公共施設といった需要家も対象となる。政府は、今冬に予想されている卸売価格の半額以下の水準となる「政府支援卸売価格〔電力が約211ポンド(約3万4,393円、1ポンド=約163円)/メガワット時(MWh)、ガスが約75ポンド/MWh〕」を設定。その価格に基づき、顧客の契約形態に応じて引き下げ水準が設定される。

具体的には、使用量に乗じる料金単価が固定されている契約(固定価格契約、注)の場合は、卸売価格水準が政府支援卸売価格を上回る際、その差額を補助する(添付資料図1参照)。

一方、卸売価格に連動して料金単価が変動する契約(変動価格契約)の場合は、政府支援価格と本スキーム対象期間中の平均予想卸売価格との差額(電力が約405ポンド/MWh、ガスが約115ポンド/MWhと予想)を上限に、卸売価格から割り引く。従って、卸売価格の上昇により、政府支援価格よりも高い水準を支払う可能性がある(添付資料図2参照)。このため、政府は本スキームの期間中、変動価格契約の需要家に固定価格契約に切り替える機会が確実に与えられるよう、供給事業者と協力するとした。なお、いずれの場合も引き下げの対象となるのは単価であるため、最終的な支払額は使用量に応じて変動する。

本スキームは、2022年10月から2023年3月までの6カ月間適用される。政府は、2023年4月以降の支援の取り扱いを決定するために、3カ月以内に本スキームの運用に関するレビューを公開するとしている。レビューでは、エネルギー価格高騰の影響を最も受ける需要家の特定、そうした需要家への本支援策の効果を見直し、支援を継続する場合の方法について検討を行う。

(注)2022年4月1日以降の契約が対象。

(菅野真)

(英国)

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