第2四半期のGDP成長率、前期比0.1%、産業界で先行き警戒感続く
(ドイツ)
ベルリン発
2022年09月06日
ドイツ連邦統計局は8月25日、2022年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率(確定値、季節調整済み)を前期比0.1%と発表した。前年同期比では1.7%だった。また、GDPは新型コロナウイルス感染拡大直前の2019年第4半期(10~12月)の水準まで回復した。
ゲオルク・ティール連邦統計局長は「世界経済の困難な状況にもかかわらず、2022年上半期のドイツ経済は持ちこたえた」と述べた。
需要項目別の内訳をみると(添付資料表参照)、個人消費支出は、大幅な価格上昇とエネルギー危機にもかかわらず、新型コロナウイルス感染対策関連の行動制限の解除に伴う旅行や外出の再開などによって前期比0.8%と増加した。政府消費支出も2.3%と大きく増加し、内需は0.7%伸びた。機械設備投資は1.1%と増加した一方、建設投資はマイナス3.4%と大きく縮小した。輸出は、ロシアによるウクライナ侵攻に伴うロシア向け輸出の大幅な減少や、グローバルサプライチェーンの混乱にもかかわらず、0.3%の伸長と、総じて安定して推移した。しかし、輸入が1.6%と大きく増加したため、外需(純輸出)はGDP成長率の押し下げ要因となった。
産業別でみると、製造業は、化学や金属などのエネルギー集約型産業の落ち込みによって前期比マイナス0.5%と落ち込んだ。一方で、新型コロナウイルス感染対策関連の行動制限の措置の緩和に伴い、サービス業の多くがプラス成長に転じた。
産業界で景気後退の懸念高まる
第2四半期GDP報告を受けて、ドイツ産業連盟(BDI)は「景気後退の可能性がますます高まっている」と述べたほか、ドイツ商工会議所連合会(DIHK)のマーティン・バンスレーベン最高経営責任者(CEO)は「景気が停滞していることを示しているが、今後はさらに悪化する可能性がある」と述べた。
ifo経済研究所が8月25日に発表した8月のドイツ企業景況感指数(2015年=100)は88.5で、前月比0.2ポイント減となり、3カ月連続で悪化した。今後6カ月の見通しを示す期待指数も80.3と0.1ポイント減となり、企業は先行きに懐疑的な見方を示している。
(日原正視)
(ドイツ)
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