小規模農家をアグリテックで支援するガーナのスタートアップ

(ガーナ、アフリカ)

アクラ発

2022年09月29日

ジェトロは95日、ガーナのアグリテックのスタートアップ「グロー・フォー・ミー外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」創業者のナナ・プレンペ社長から話を聞いた。同社は米グーグルから202110月に出資を受けたガーナ発の企業だ。

写真 CEOのナナ・プレンペ氏(グロー・フォー・ミー社提供)

CEOのナナ・プレンペ氏(グロー・フォー・ミー社提供)

同社は、出資者と生産者を直接つなぐクラウドファーミングの概念を取り入れ、個人が少額出資者として農産物の生産や取引に携わるクラウドファンディングのプラットフォームを運営している。農産物の市場取引は同社が代行し、利益は出資者に50%、農家に35%、同社に15%の割合で分配される。出資者は自ら農地に行く必要はなく、農産物の栽培過程をウェブサイト上で確認しながら、取引の利益を得ることができる。小規模農家は複数の投資家から出資を受けられるほか、農産物の買取先を確保できるため、農村部で安定した農業生産や農産物品質の向上、雇用創出につながる。

同社のプラットフォームが解決を目指す社会課題は、農産物の収穫から消費者に届くまでの流通過程で生じる損失や、ポストハーベストロスの削減だ。プレンぺ社長は、小規模農家の市場へのアクセス機会が限られていることや、農産物の品質の差などが課題となって、アフリカ大陸全体では収穫物の約30%が流通過程で失われていると指摘する。同時に、買取業者も農家からの安定供給の確保が難しいという課題を抱えている。

写真 対象品目の一例(グロー・フォー・ミー社提供)

対象品目の一例(グロー・フォー・ミー社提供)

現在、ガーナ北部の5か所でプロジェクトが稼働しており、対象品目はカカオ、コーヒー、トウモロコシ、大豆などだ。今後は対象地域をトーゴやナイジェリア、ケニア、ウガンダに拡大していく方針だ。2022年からの2年間で1,600以上の買取業者との連携と、16の倉庫の稼働を目指すという。プレンぺ社長は事業拡大に向けて、日本企業とのアグリテック分野の技術的な連携や、穀物売買の連携を模索したいと期待を寄せている。

(柴田北斗)

(ガーナ、アフリカ)

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