大豆輸出に優遇為替レートを適用する新制度を導入

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2022年09月15日

アルゼンチン政府は9月5日、必要緊急大統領令576/2022号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公布し、輸出拡大プログラムを導入した。9月5~30日の間、大豆の輸出代金を自国通貨ペソに交換する際、「1ドル=200ペソ」の為替レートを適用する。

外貨不足に苦しむアルゼンチンでは、資本取引規制によって、輸出で得た外貨を全てペソに交換することを輸出者に義務付けている。9月5日の公式為替レート(インターバンクレート)は1ドル140ペソだが、市中で取引される非公式為替レートは1ドル270ペソと乖離幅が大きい。大きな乖離幅は公式為替レートの下落を想起させ、穀物輸出業者の輸出控えにつながっているとされている。そのため、政府は、公式為替レートより有利な為替レートを適用することで大豆の輸出を拡大し、外貨収入を増やすことを狙っている。

この制度の適用を受けるには、過去18カ月間に輸出実績があることが条件で、対象品目は大豆(NCM1201.90.00)、大豆油(NCM1507.10.00、1507.90.11、1507.90.19、1507.90.90)、大豆かす(NCM2302.50.00)、大豆油かす(NCM2304.00.10、2304.00.90)。

2022年7月にも大豆の輸出を増やすことで外貨準備高を積み増すことを狙った制度を中央銀行が導入したが、成果は出なかった。

セルヒオ・マッサ経済相は9月4日、「この度の制度により月内に50億ドル、最初の72時間で10億ドルの外貨収入を見込んでいる」と述べた。国営テラム通信は9月10日、最初の1週間で22億ドルの外貨収入があった」と報じている。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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