ASEAN+3経済大臣会合、産業界はRCEP普及啓発を継続して提言
(ASEAN、日本、中国、韓国)
ジャカルタ発
2022年09月26日
第25回ASEAN+3(ASEAN10カ国と日本、中国、韓国)経済大臣会合が9月17日、カンボジアのシェムリアップで開催された。共同メディア声明では、2021年のASEANと日本、中国、韓国間の貿易額が1兆9,800億ドルまで増加したこと、2021年の日本、中国、韓国からASEANへの外国直接投資額(FDI)がFDI全体の25.4%を占めたことが確認された。一方で、世界の食料とエネルギーの安全保障に対する継続的なリスク、およびインフレの高まりについて懸念が示され、パンデミック後の経済回復が脆弱(ぜいじゃく)性をはらむことが指摘された。
会合では「ASEAN包括的復興枠組み(ACRF)」(注1)および「COVID-19感染拡大による経済的影響の緩和に関するASEAN+3アクションプラン」(注2)への強い支持が示され、新型コロナウイルスの影響に対処し,地域の復興を進めるために緊密に協力することが再確認された。そのほか、「ASEAN+3協力ワークプラン(ECWP)2023-2024」が承認され、これまでの同ワークプランの成果として、ASEAN+3諸国間の経済協力が、零細・中小企業の能力強化、貿易円滑化の改善、デジタル経済の発展の促進、サプライチェーンの回復力への貢献、地域における協力の強化に貢献していることが確認された。
また、同会合では、東アジアビジネス協議会(EABC)が、地域的な包括的経済連携(RCEP)活用の促進、デジタル技術による効率性と生産性の向上、サプライチェーンの再構築を柱とする提言を行った。ジェトロと日本商工会議所はEABCへの協力として、ASEAN+3(13カ国)の地場企業を対象に実施したビジネス活動に関する調査報告を行った。報告では、ビジネス拡大意欲が回復傾向にあることや、コスト面や人材不足がデジタル技術導入の際の障害であることを指摘した。RCEPに関しては、売り上げ増加を動機に活用する企業が多いことや、HSコード・原産地規則などの基本規則の情報提供強化の必要性などを指摘した。EABCの提言に対し、各国代表からは歓迎する旨の発言が続き、中にはジェトロと日本商工会議所によるアンケート調査の重要性を指摘する発言もあった。
(注1)2020年11月8日の第37回ASEAN首脳会議で採択。ACRFでは、広域経済統合、デジタルトランスフォーメーション(DX)、持続可能性(サステナビリティー)など5つの広範な戦略を旗印として、経済を以前の水準まで回復させ、より強靭(きょうじん)な地域・市場の実現を目指す(2021年5月26日付ブラック ジャック 無料 ゲーム参照)。
(注2)2020年8月に開催されたASEAN+3経済大臣会合で採択。新型コロナ禍における医薬品などの必需品の流通促進や、イノベーションやデジタル貿易を活用した中小零細企業の操業継続支援などが盛り込まれている。
(尾崎航)
(ASEAN、日本、中国、韓国)
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