四川省濾定県で大地震、被害と対策展開の現状

(中国)

成都発

2022年09月09日

中国四川省甘孜チベット族自治州濾定県で9月5日午後0時52分(現地時間)、マグニチュード6.8という大規模な地震が発生した。発生から数日、懸命な救助活動と被害地区の復旧作業が進むと同時に、被害の全体像が明らかになってきた。

8日正午時点で死者数は濾定県(震源地)で50人、隣接する雅安市石棉県で36人の合計86人となった。行方不明者は35人となっている。

地震発生直後、震源地に近い得妥鎮(村)では、村民200人余りが水や電気といったライフラインを断たれた。発生から約4時間後には救援隊が同地に到着、7日午後には全村民の避難が完了した。

現地報道によると、地震発生後2日が経過した7日午前11時30分の時点で、6,990人の救援部隊が救援車両943台や重機155台を導入し、救援活動や行方不明者の捜索に当たっている。人民解放軍西部戦区は2,700人の兵士と19機のヘリコプターを派遣、被災者救助と搬送を行っている。41カ所の避難所には計1万3,232人が避難しているほか、現場には8,733人のボランティアが交通整理や感染防止措置、住民ケアなどに当たっているという。

習近平国家主席は地震発生直後、人民救助を第1として被災者の救出に全力を尽くし、犠牲者を最小限に抑える必要があるとした。2次災害防止と被災者避難のため、人民解放軍や武装警察、政府関連部門に対し、速やかに四川省への救援を手配するよう要請、人民の生命と財産の安全を守るため最善を尽くすよう指示した。これを受け、国家衛生健康委員会は直ちに国家レベルの医療部隊と感染防止部隊を被災地に派遣することを決定した。

7日には四川省共産党委員会の王暁暉書記が震源地を訪れた。行方不明者の捜索や孤立者救出のため、科学的かつ専門的な救援体制を整備するとともに、現地の気象状況などに鑑み2次災害防止と生活インフラ維持に全力を尽くすことなどを指示。また、現地で避難生活を送る被災者や、最前線で不眠不休の活動を続ける救援部隊の隊員たちを慰労した。

地震災害に対する義援金など支援の動きも活発になってきた。7日までに中国石油天然ガス集団、中国石油化工集団、国家電網、国家能源投資集団、中国移動通信集団など巨大国有企業8社がそれぞれ5,000万元(約10億5,000万円、1元=約21円)の寄付、その他計65社の中央国有企業が合計11億6,800万元の寄付を発表した。四川省内では、大手酒造メーカーの五粮液集団(四川省宜賓市)が1,500万元、大手電気設備メーカー東方電気集団(四川省徳陽市)が1,000万元の寄付を表明、日本企業もトヨタ自動車(中国)と関連3社(一汽トヨタ、広汽トヨタ、トヨタモーター・ファイナンス・チャイナ)が共同で600万元の寄付を発表している。

(森永正裕)

(中国)

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