ASEANの気候変動に対する意識調査、ISEASが発表

(ASEAN、ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)

シンガポール発

2022年09月12日

シンガポールのシンクタンク、ISEASユソフ・イシャク研究所〔旧・東南アジア研究所(ISEAS)、以下ISEAS〕は98日、ASEAN加盟国の国民の気候変動に対する意識などを調査した「東南アジア気候見通し:2022年調査報告」(Southeast Asia Climate Outlook2022 Survey Report)を公表した。気候変動対策に関するパートでは、「自国の脱炭素化における最大の課題」として、「財源不足」(50.9%)を選択した割合がASEAN全体で最も高く、「研究開発(RD)、技術、専門知識の欠如」(50.4%)、「代替エネルギー源不足」(45.7%)などが続いた(注1)。

「自国の炭素排出削減のために、政府は何ができるか」との問に対しては、「企業にグリーンな手法を取り入れるよう奨励」(33.8%)を回答した割合が最も高く、「低炭素化のための公的資金支援の増加」(28.8%)、「気候に関する法律の制定」(18.7%)、「炭素税の導入」(12.0%)、「化石燃料補助金の廃止」(6.7%)が続く(注2)。ISEASは、「化石燃料補助金の廃止」と回答した割合が前回調査(7.6%)から下がった点に触れ、「ロシアとウクライナとの間での争いに端を発した現在のサプライチェーンと一次産品の危機が原因である」可能性を指摘した。また、「自国の炭素排出削減のために、民間企業は何ができるか」との問に対しては、「グリーンなサプライチェーンの採用」(24.7%)の回答割合が最も高く、「RD・技術への投資」(19.7%)、「CSR報告の透明性と説明能力の向上」(16.4%)などが続く(注2)。

本調査はISEAS2020年から毎年実施しており、今回で3回目。今回発表された最新の調査は、ASEAN加盟国の学術界・シンクタンク・研究機関、産業、政府、地域組織・政府間組織・国際機関、市民社会組織、メディア、学生・退職者などに分類される、計1,386人からの回答をまとめた。調査期間は、202268日から同年712日。報告書はISEASのウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで閲覧できる。

(注1)回答者は選択肢を3つまで選択可能なため、回答の足し上げは100%にならない。

(注2)回答者は優先順位が高い2つを選択。結果が100%になるように調整されている。

(朝倉啓介)

(ASEAN、ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)

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