メルセデス・ベンツ、米国で電動SUVの生産開始
(ドイツ、米国)
ミュンヘン発
2022年09月06日
ドイツ自動車大手メルセデス・ベンツグループ傘下のメルセデス・ベンツは8月25日、米国アラバマ州西部に位置するタスカルーサ工場で、バッテリー式電気自動車(BEV)のスポーツ用多目的車(SUV)モデル「EQS SUV」の生産を開始したと発表した。「EQS SUV」は同工場でのみ生産し、必要に応じて米国から輸出する予定。
タスカルーサ工場はメルセデス・ベンツのドイツ国外で初の大規模工場で、1997年に生産を開始した。SUVを中心に生産しており、2021年のSUV生産台数は約26万台。そのうち約3分の2は輸出している。メルセデス・ベンツは1990年代から70億ドル以上をアラバマ州に投資し、生産設備や物流センター、蓄電池工場などを整備してきた。従業員は約4,500人で、取引先など関連企業も含めると州内で約1万1,000人の雇用を間接的に創出している。同工場では2022年中に「EQE SUV」の生産も始まる予定。
メルセデス・ベンツは2021年7月、市場条件が許す地域で2030年までに完全BEV化を目指すことを発表している(2021年8月3日記事参照)。2022年には3大陸7工場で計8車種のBEVを生産する予定。同社の2021年のBEVとプラグインハイブリッド車(PHEV)を合わせた販売台数は前年比69.3%増の22万7,458台で過去最高。特にBEVの「メルセデスEQ」ブランドは4万8,936台を占め、前年の2.5倍に急増している(2022年7月28日付地域・分析レポート参照)。
メルセデス・ベンツによると、タスカルーサ工場で生産する「EQS SUV」用蓄電池システムは、2022年3月に開設した、タスカルーサ工場の南東約50キロに位置するビブ郡の同社蓄電池工場から調達する。同社はビブ郡の蓄電池工場に加え、ドイツ(カーメンツ、シュツットガルト)、中国(北京)、タイ(バンコク)、ポーランド(ヤボル)に蓄電池生産ネットワークを整備、10億ユーロ以上を投資する。また、パートナー企業とともに全世界で2030年までに蓄電池セル工場を8カ所整備、年間生産能力200ギガワット時以上を確保する計画だ。8月には同社は中国のリチウムイオン電池大手の寧徳時代新能源科技(CATL)との協力関係強化を発表している(2022年8月23日記事参照)。
(クラウディア・フェンデル、高塚一)
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