米国のEVシェアは2030年までに50%超と予測、インフレ削減法の効果に期待、米メディア報告書

(米国)

ニューヨーク発

2022年09月22日

ブルームバーグは9月20日、2030 年までに米国で販売される自動車の52%が電気自動車(EV)になるとの同社報告書(BNEF)の予測を報じた。8月16日に成立したインフレ削減法(バイデン米大統領、ブラック ジャック)に盛り込まれた、EVの購入者に対する奨励策などがこれを後押しするとみている。もし実現すれば、2030年までに新車販売の50%以上をEV〔バッテリー式EV(BEV)とプラグインハイブリッド車(PHEV)〕および燃料電池車(FCV)にするバイデン政権の目標が達成されることになる。

インフレ削減法により、EVの購入者は1台当たり最大7,500ドルの税額控除を受けられる。メーカーごとに累計販売台数20万台までを税額控除の対象とする現行の要件は2022年末で終了となり、現在、対象外となっているテスラやゼネラルモーターズ(GM)の車両も再び対象になるため、EVのさらなる普及が期待されている。米国調査会社のローディアム・グループも、同法の施行により、EVが新車販売に占める割合は2030年時点で最大57%になると予測している。また、ボストン・コンサルティング・グループは、2030年までにBEVとFCVのシェアが合わせて47%、PHEVとハイブリッド車(HEV)を含めると62%に達すると予測している。

モーターインテリジェンスの最新データによると、米国における2022年第2四半期(2022年7月11日時点)のEVとFCVの合計シェアは6.6%となり、前年同期(3.5%)から大幅に伸びている。他方、充電施設の不足やそもそもの需要の欠如などを理由に、2030年までの政権目標の達成は厳しいとする見方もある。

なお、インフレ削減法には、EV車両の最終組み立てや、バッテリー材料および部品の調達割合に関する要件が定められているため、関係者から生産への影響を危惧する声が上がっている。ブルームバーグはこれに関し、「適応するには時間がかかる」との同社アナリストのコメントを引用した上で、これらの課題は時間の経過とともに軽減されると予想され、より多くのEVが手頃な価格帯になる可能性がある、と述べている。

(大原典子)

(米国)

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